日銀がETF購入を見送り、政策変更巡る市場の観測強まる可能性
(ブルームバーグ): 日本銀行は11日、日本株相場が大幅下落したにもかかわらず、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れを見送った。従来、東証株価指数(TOPIX)が午前の取引で2%以上下落した日は必ずETFを購入してきただけに、異例の対応となった。
11日の日本株市場でTOPIXは午前の取引で2.3%下げた。日銀はETFの購入について、午前の取引で2%下落時に購入するとの方針を公式に認めたことはない。しかし、2021年4月以降の購入履歴は全てこの原則にのっとっており、市場関係者の間では事実上のルールと見られてきた。
TOPIXが午前に2%超下落、日銀のETF購入基準に
来週18-19日に開かれる金融政策決定会合に向け、投資家の間ではマイナス金利政策の解除を中心に日銀の金融政策が正常化される可能性に注目が集まっている。日銀のETFを巡る異例の対応は、あす以降の市場で政策変更を巡る観測が一段と強まる可能性がある。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、「意外感はある」とした上で、「次回会合ではETF買い入れ自体を撤廃するだろう」との見方を示した。市場では買い入れに対して否定的な声も多かったため、11日にETFを買わなかったことが相場を押し下げることにはならないだろうと述べた。
日銀の植田和男総裁はETF買い入れについて、物価目標実現が見通せる状況になった時点で「引き続き買うかどうかを検討する。やめるかどうかはその時点の情勢次第だ」と1月の会見で発言。内田真一副総裁は2月の講演で、不動産投資信託(JーREIT)を含めて「大規模緩和を修正する時には、この買い入れもやめるのが自然だ」と踏み込んだ。
三井住友信託銀行の岩橋淳樹シニアエコノミストは、今回の日銀の行動の変化は「市場での早期政策修正期待を高める方向に作用する」としながらも、「買い入れがなかったことだけで3月の利上げの可能性が高まったとは思わない。引き続き4月での変更を予想する」とした。一方で、株価が好調な中で「日銀が無理して買わなければいけない理由はない」とも述べた。