加藤和樹「いつも死んでいるような役が多いから(笑)」“やればできる”という心意気でコメディに挑戦
日常生活を描いたストレートプレイは“自分事”としてリアリティを感じやすいはず
――作品やお芝居を通して、「自分を解放すること」の大切さに気付くみたいなことは多いですか? それとも、特にこの作品がそういう気持ちにさせるという感じでしょうか? 特にこの作品は日常のことを描いているので、それを強く感じます。観ていただく方々もよりリアリティを持って感じていただけるのではないでしょうか。こういうエンターテインメント作品は、少し現実離れした作品だと完全に“エンタメ”として捉えられることが多いいので、その中でメッセージを伝えるのはすごく難しいんです。 でも、こういった日常の延長線上にある作品だと、自分にもちょっと当てはまる部分があるかもなど、共感してもらいやすいので、お芝居ではありますが、日常生活の中にも届くものにできたらいいですね。 ――この作品は少人数でギュッと濃いお芝居を皆さんと展開されると思いますが、共演の皆さんから「常に挑戦されている」「こういう解放の仕方があるんだ」というのを学んだりされていますか? 今回から参加している福本伸一さんが、毎回芝居をトライしていらっしゃるんです。周りは再演組でひとりだけ初参加というのは相当プレッシャーだと思うのですが、それでもどうしたら自分がいたらどう面白いかというのを考えながら毎回お芝居をされていて、そのチャレンジ精神がすごいなって思っています。 やっぱり再演モノはどうしても身体が前回をなぞってしまうんです。頭で忘れていても身体が覚えていたりするので、なるべくなぞっていかないようにしています。僕も今回はセリフの感情のレベルや当て方などをいろいろと考えて新たにトライしています。 ――福本さん以外は再演組ということで、それぞれの共演者の方々が2年前と比べて「こんなに違う!」みたいな感想はありますか? すごく変な言い方かもしれないのですが、松尾貴史さん、戸田恵子さんという大先輩のお二人がいい意味で何も変わってないんです! 逆に変わったと言ったら、松尾さんがさらに自由になさっている感じですかね(笑)。前回も思っていましたけど、松尾さんは本当に役作りなしでヴェラスコさんみたいな存在なんです。本当に自然体でヴェラスコさんとして舞台上にいらっしゃるので、そこはもう「さすが!」と思います。 戸田さんも稽古の時は「セリフなんかもう全然覚えてないわよ」と言いながら、やっぱりちゃんと仕上げていらっしゃるし、その面白さに磨きがかかっていてすごいなって。お二人に共通しているのが、“間の取り方”が抜群に巧いということ。コメディにおいて“間”というのはすごく重要なんです。コンマ数秒違うだけで、そこが笑えるタイミングではなくなってしまうこともあります。お二人の姿を見ていて、そういった“間”を意識し過ぎず僕もやらなきゃと勉強させてもらっています。 高田夏帆さんは前回が初舞台。ご本人は「まだまだ今回も初舞台みたいなものです」とおっしゃっていますが、ちゃんとコリーとして存在しているのがしっかりと見えますし、初演のときも思ったのですが、彼女自身がちょっとコリーみたいなところがあって。今回もすごく期待しています。 加藤和樹(かとう・かずき) 1984年10月7日生まれ、愛知県出身。2005年にミュージカル『テニスの王子様』で跡部景吾役を演じて脚光を浴びる。翌年の2006年4月にMini Album『Rough Diamond』でCDデビューを果たし、歌手活動もスタート。毎年CDリリースや日本武道館ほか、日比谷野外音楽堂などで毎年単独ライブや全国ライブツアーを開催するなど、音楽活動を精力的に行っている。2009年からは韓国、台湾、中国でCDデビューを果たし、上海や北京、韓国でもライブを行なう。俳優としてはドラマ・映画・舞台など幅広い分野で活躍。2021年4月アーティストデビュー15周年を迎え、「ローマの休日」ジョー・ブラッドレー役、「BARNUM/バーナム」フィニアス・テイラー・バーナム役の演技に対して第46回菊田一夫演劇賞・演劇賞受賞。ミュージカル界においては、ミュージカル『レディ・ベス』(2014年、2019年)、ミュージカル『タイタニック』(2015年、2018年)、『1789 -バスティーユの恋人たち-』(2016年、2018年)、ミュージカル『フィスト・オブ・ノースター~北斗の拳~』(2021年)、ミュージカル『キングアーサー』(2023年)など、話題作への出演が引きも切らない。2025年1月にはミュージカル『フランケンシュタイン』に出演予定。
前田美保