年金暮らしの親が「貯金がなくなり、暮らすだけで精一杯」と言っています。親の面倒をみたいのですが、妻は同居に反対しています……。何か解決策はありますか?
遺族年金が男女平等に改正される?
今の遺族年金は、年金制度上でいえば男女平等とはいえません。 18歳未満の子どもがいる妻が亡くなったときの遺族基礎年金については、夫にも受給権が発生するよう改正されています。この点については男女差が解消されたといえます。 ただ、そもそも遺族厚生年金の受給権が発生する夫は55歳以上に限られます。妻について、子どものいない30歳未満の妻は5年の有期年金になった改正点はありましたが、妻については、55歳未満でも受給権が発生します。今後、この圧倒的に妻が有利な状況について解消されるかもしれません。 厚生労働省の「第17回社会保障審議会年金部会」(2024年7月30日)の資料によると、「妻が40歳以上65歳未満の間に支給される中高齢寡婦加算を段階的になくす」ことや「夫の55歳以上という条件をなくす」という提言がなされています。確定ではないので今後も法改正を見ていく必要はありますが、親の年金がどれくらいかという点は、別居か同居かの選択肢に影響することもあります。 専業主婦やパートなど、厚生年金に加入していた期間が少ない母親では、年金額が少なくなり、子どもと同居せざるをえないというケースも出てくるかもしれません。 親子で、同居か近所に住むかの判断は非常に難しいものですが、突然どちらかの判断によることとなれば、どちらかにとっては不本意な判断となることもあります。できれば親が元気なうちに、親子でお金の話をクリアにしつつ、どちらにとってもウイン・ウインの選択肢とできるようにしたいものです。 出典 国税庁 No.1180 扶養控除 厚生労働省 遺族年金制度等の見直しについて 執筆者:當舎緑 社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
ファイナンシャルフィールド編集部