ユーザー離れが加速?韓国発縦読み漫画「ウェブトゥーン」の将来性を韓国カルチャー専門家に聞く
ウェブトゥーンと日本の漫画は別物
ウェブトゥーン・エンターテインメントの株価が低空飛行を続けている通り、ウェブトゥーンの定着はなかなか進んでいない印象。とりわけ、日本の漫画と比較してウェブトゥーンは登場人物の表情が淡白で、登場人物の心情に思いを馳せることは難しい。日本の漫画よりも読み応えという側面では劣っており、世界的に評価を集めることは容易ではないなのではないか。 「もちろん、日本の漫画は登場人物の表情が繊細に描かれており、ウェブトゥーンは“デジタルらしい”アッサリとした表情です。ただ、ウェブトゥーンはテレビを見ながら読んだりなど、“ながら見”ができます。読者を没頭するように読ませる日本の漫画は楽しみ方・読み方がそもそも別物。もちろん、読み応えのあるウェブトゥーンもありますが」 大前提としてウェブトゥーンは日本の漫画とは全く異なるコンテンツであり、両者は市場を奪い合うライバルでもなく、比較すること自体が誤りなのかもしれない。 改めてウェブトゥーンは今後世界的に普及していくのだろうか。黄氏は「成長を見せていくと思います」と前向きな見解を示す。 「ウェブトゥーンはスマホに最適化されたコンテンツですが、言い換えればスマホが廃れれば一緒に沈みかねない。ただ、携帯デバイスで言えばスマホは“ラスト”になると思います。もちろん、AIやVRといった技術と関連して進化していきますが、スマホというデバイスが大きく変化する可能性は低い。ウェブトゥーンはますます定着していきます。 また、コンテンツ産業はほぼほぼ完成されており、映画や漫画、舞台などが今以上にインパクトのあるユーザー体験を与えられるかと言えば難しい。ただ、ウェブトゥーンはここ最近広がりを見せているコンテンツで、つまりは“伸びしろ”があります。今後1番広がりを見せるコンテンツと予測するアナリストも少なくないです」 そして、黄氏は今後ウェブトゥーンが世界的に定着するためのポイントを解説する。 「海外展開するにあたり、その国のニーズを意識する必要があります。ウェブトゥーンもそうですが、漫画やドラマはその国の文化や歴史を知ることができ、そこが魅力の一つでもあります。ウェブトゥーンも制作者・制作チームの母国を舞台にした作品を多く発信したほうが良いと思いますが、それだけではなくターゲットに据えている国のニーズをしっかり把握したうえでの作品づくりも求められるでしょう」 生まれた時から映画や漫画といったコンテンツが日常に定着していたが、ウェブトゥーンはこれから定着しようとしている。1つのコンテンツがどのように日常生活の当たり前になっていくのか注目したい。
望月 悠木