救急出動件数が2年連続過去最多、2023年 高齢化やコロナ感染者増加 搬送遅れに懸念も 呼ぶか迷ったら「#7119」
中国地方5県の2023年の救急出動件数が前年比2万1436件増の40万7233件(速報値)となり、2年連続で過去最多を更新したことが総務省消防庁のまとめで分かった。高齢化に伴う傷病者の増加に加え、新型コロナウイルス感染者が増えたことが主な要因。一方で不要不急の通報も多く、各県は適切な救急車の利用を呼びかけている。 【グラフ】中国地方の5件の救急出動件数 5県別の出動件数は、広島15万6809件(前年比8290件増)▽山口7万8419件(3805件増)▽岡山10万4564件(5285件増)▽島根3万6554件(2442件増)▽鳥取3万887件(1614件増)―だった。 出動件数は新型コロナ禍で行動制限のあった20年に一時減少したのを除き、増加傾向が続く。ただ、広島県の22年の分析では出動件数のうち約4割が救急搬送の必要のない軽症者だった。 また、広島県では23年の「救急搬送困難件数」も過去最多の7547件だった。いずれも医療機関に4回以上照会し、現場到着から搬送開始までに30分以上を要した。 出動件数の増加に伴う搬送の遅れが懸念される中、各県は救急車の適切な利用の周知に力を入れている。鳥取県の全域と広島、山口県の大半、岡山県の一部の地域では、救急車を呼ぶべきか迷った際に看護師たちに相談できる無料の専用ダイヤル「#7119」を導入。軽症の場合は自ら近くの医療機関を受診するよう促している。 広島県消防保安課は「救急車が本当に必要な人の所にいち早く駆け付けるためにも、適切な利用への協力をお願いしたい」としている。
中国新聞社