日ペルー、重要鉱物の供給源多角化で合意 脱中国依存急ぐ 経済対策で支援積み増しも
日本政府は17日(日本時間18日)、ペルーと重要鉱物の供給網強化に向けた協力を進めることで合意した。念頭にあるのは脱中国依存だ。重要鉱物は中国への依存度が高く、経済安全保障上のリスクが大きい。供給源の多角化に向け、民間の開発プロジェクトの支援や国際連携枠組みの活用などの対応を急ぐ。 重要鉱物はあらゆる産業の基盤となる原材料で、電気自動車用モーターに使う磁石の材料になるネオジムといったレアアース(希土類)、蓄電池に使うリチウムなどは脱炭素化の実現にも欠かせなくなっている。 この分野で圧倒的なシェアを握るのが中国だ。米地質調査所によると、中国のレアアース生産の世界シェアは約7割。リチウム生産では1割強にとどまるが、鉱物の加工にあたる精錬になると6割強に及ぶ。 「中国はこの優位性を経済的威圧に使っている」と経済産業省幹部は指摘する。尖閣諸島をめぐり日中関係が緊迫した2010年にはレアアースの日本への輸出を停止。直近では、23年に半導体材料に使うガリウムやゲルマニウム、EV向け電池に使う黒鉛について中国当局の許可がなければ輸出できなくした。中国に供給を絞られるリスクは高まりつつある。 これに対し、政府は令和4年12月に経済安全保障推進法に基づき重要鉱物を「特定重要物資」に指定し、戦略的に安定供給の確保を図る対象とした。4年度補正予算では重要鉱物の開発プロジェクトへの政府機関を通じた出資や助成金による支援に合計2158億円を確保。11月中にまとめる経済対策では、支援の積み増しを検討する。 中国に依存しない供給網の構築を目指した国際枠組みも始動する。先進7カ国(G7)に韓国や豪州などを加えた15カ国・地域で、今後ルールづくりなどの議論に入る。経産省幹部は「中国は価格も安いので、安定供給や環境配慮なども含めて脱中国依存の価値を訴求できるかが課題になる」との見方を示す。(万福博之)