時間が気になって休めない…「時間不安障害」の現実と対処法
時間に対する不安がメンタルヘルスに与える影響
いつも危機感に駆られているのは、生活の質だけでなく健康にも非常に悪い。ロシェルの場合は、自分の人生を上手くコントロールできないという焦燥感が仕事にも波及して、自分には十分な能力があると思えなくなってしまった。 時間が気になって仕方ないときに生じる体が麻痺するような感覚と不眠が有害であることは百も承知。それでも私は、未完了のタスクのことばかり考えて結局は貴重な時間を無駄にしている。時間を無駄にすることに対する嫌悪感は、私の人間関係にも悪影響を与えている。現に私は、街で友達に出くわしたり、おばあちゃんから電話があったりという予定外の出来事を喜べなくなってしまった。理由は簡単ーそうすると、自分で決めたスケジュールに遅れが出るから。 ショー博士の話では、どんな種類の不安障害もコルチゾール反応を加速させ、体内の数々のプロセスに悪影響を及ぼす可能性がある。少量のコルチゾールは(バスに乗るために走るときなど)集中力の維持に役立つ。「でも、コルチゾールの分泌が慢性化して、体内のコルチゾール値が高すぎる状態が長く続くと、ドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質の働きが抑制されてしまいます」 ドーパミンが不足すると「やる気がなくなり、楽観的でいることができなくなります」とショー博士。「一方のセロトニンは気分、睡眠、食欲、感情の調節に不可欠です。そのため、セロトニンが不足すると、気分のむらが激しくなって、ぐっすりと眠れなくなり、イライラするようになります」。これまでの研究により、コルチゾール値が慢性的に高くなると、うつ病、高血圧、心疾患のリスクが高くなることも証明されている。
時間が気になって休めない人向け「時間の上手な使い方」
・不安な気持ちはアファメーションで置き換える 「時間や日にちが足りないという強迫観念を手放すためにも、破滅的な思考(私には〇〇をするための時間が一生ない)は現実的で前向きなアファメーション(この時間では1つのことしかできないけれど、その1つはしっかりやろう)で置き換えましょう」とチャプマン博士。 ・思い切ってタスクを減らす ショー博士によると、「私たちは所要時間を短く見積もり、2時間や半日ではなく1時間で終わると考えてしまいがち」。だから、やらなければならないことを全部書き出すよりも、その中から2~3個選んで、その日中に終わらせることにコミットしたほうが効率的。それ以外は明日でいい。 ・問題はひと晩寝かせる ショー博士によると、時間が気になって眠れないときは、考えていることを紙に書き出し、翌朝に対処するべき。「まだ完全に目覚めてはいないけれど、眠っているわけでもない。そういうときは脳が軽い瞑想状態に入り、アルファ波を発しているので、さまざまな疑問に対する答えが浮かびます」。散歩中や空想中、窓の外を眺めているときや自分の呼吸を数えているときも、この状態に入りやすい。