【今季2勝目の浦和レッズ。J1・5試合を終えての現在地(2)】浮上のカギは“中盤の連動性”。ベテラン・岩尾憲がチームにもたらすものとは……「形を作ることが目的ではなくて」
アビスパ福岡戦でチームにポジティブな変化をもたらした1人がベテラン・岩尾憲だろう。序盤4試合の浦和は、サミュエル・グスタフソンがアンカーに入り、インサイドハーフ(IH)に伊藤敦樹と小泉佳穂が並ぶ形だったため、35歳のMFは外から試合を見る形になっていたが、「いかにして中盤の連動性を高め、より効果的なビルドアップをしていくか」を彼自身、熟考していたという。 ■【動画】岩尾憲が絶妙なロングパス! チャンスにつながった福岡戦での卓越パス■ これまでの浦和は足技に秀でるグスタフソンがあまりポジションを変えずに起点を作ろうとするあまり、そこを狙われ、ボールを奪われてカウンターを繰り出される場面が少なくなかった。岩尾はそれを阻止するため、できるだけ彼と近い距離にいて、サポートするように試みていた。 「最初は相手もプランを持って守備してくる分、こちらの立ち位置を整理できている。そこで敦樹とも目を合わせながら、サミュエルともコミュニケーション取りながら、少しずつポジション変えながらやりました。ただ、自分たちも迷いながらやっている分、あまり効果的にボールを運ぶ、剥がすことができなかった」と彼自身も不完全燃焼感を吐露する。
■「形を作ることが目的ではなくて」
そこで後半はよりサイドを意識した展開に持っていこうとした。それはベア・マティアス・ヘグモ監督の指示でもあった。 「後半も逆三角形でしたけど、ダブルボランチと1トップ下みたいな形でもいいし、トリプルボランチっぽくすることもありだと思いながらやりました。形を作ることが目的ではなくて、ライン間を取ることが目的なので、そのへんを履き違えないように優先順位を考えてやれば、監督も概ね許容してくれる感じ。今は探りながらやってる部分がありますけど、試合をやりながらもっともっと良くしていきたいなと思ってます」と彼なりにベストな形にトライし、わずかながら見えてきた様子だ。 岩尾は昨季のマチェイ・スコルジャ監督体制で伊藤とボランチを組んでいて、お互いのよさを引き出し合う関係性を築けている。そのアドバンテージを生かしながら、グスタフソンと絡みながらベストな中盤の連携・連動を構築していけるという優位性もある。戦術眼や周りを見る力にも長けており、手詰まり感を打破することも可能だ。頼れるベテランが先発組に入ったことで、確実に浦和のゲーム運びは変化しつつある。それが分かったことが、福岡戦の大きな収穫と言える。 ただ、ここからは連戦に突入するため、特定の戦力だけでは戦えない。これまでIHに入っていた小泉の力も必要だし、途中出場で異彩を放っている中島翔哉を頭から使うという選択肢もないとは言えないだろう。そうやって中盤の戦力を最大限、有効活用していけるようになれば、浦和の戦い方に幅が生まれるのは間違いない。
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