ウクライナ大統領選とはどんな選挙か 欧米とロシアの対立の行方左右
5月25日、ウクライナで大統領選挙が実施されます。2月22日に野党勢力の抗議活動でヤヌコーヴィチ大統領(当時)が国外に逃亡して以来、ウクライナでは混乱が続いてきました。今回の選挙は、ウクライナだけでなく、欧米とロシアの対立の行方を、大きく左右するものとなります。 【地図】東部がロシアと隣接するウクライナ
何が争点になるのか
ウクライナでの混乱の背景には、「NATO(北大西洋条約機構)やEU(欧州連合)に加盟して西側につくか、ソ連時代からの関係に基づいてロシアとの友好を維持するか」という対立があります。南西部にはウクライナ語話者などの親欧米派が、北東部にはロシア語話者をはじめとする親ロシア派が多いといわれます。 今回の選挙では、3月18日のクリミア半島のロシア編入や、4月7日の東部ドネツク州の「独立宣言」などを受けて、国のあり方そのものが争点になっています。具体的には、 ・NATO、EUへの加盟の賛否 ・(親ロシア派の不満を緩和するための)連邦制の導入や、ロシア語の公用語化の賛否、 ・壊滅的ともいわれる経済の立て直し策、などです。
最有力候補の「チョコレート王」
今回の選挙で、選挙管理委員会によって認められた立候補者は23人。第一回投票で過半数の票を獲得する候補がなかった場合、上位2名による決選投票となります。 キエフ国際社会学研究所が4月末から5月初旬にかけて行った世論調査によると、1位ポロシェンコ元経済相の支持率が54.7パーセント、2位ティモシェンコ元首相が9.6パーセント、3位ティヒプコ氏が6.7パーセント。このうち、ポロシェンコ候補はチョコレートメーカーやテレビ局を保有する実業家。米誌『フォーブス』の推計で約10億ドルの資産をもつことから、「チョコレート王」とも呼ばれます。 ポロシェンコ候補への支持は、3月の調査で約36パーセント、4月上旬の調査で47パーセントと伸び続けています。この背景には、 ・実業家として有名なだけでなく、外務大臣や経済大臣を務めた経験もあること、 ・前政権への抗議デモを自分のテレビ局を通じて支援し、常にスポットの当たる場にいたこと、 ・ボクシングの元ヘビー級世界チャンピオンで、やはり有力候補だったクリチコ氏が立候補を取り下げ、ポロシェンコ支持に回ったこと、 ・ライバルのティモシェンコ元首相が収賄罪で収監されていたため、2月の政変でほとんど目立たなかったこと、などの理由があります。 その圧倒的な支持率から、選挙の焦点は事実上、「第一回投票でポロシェンコ氏が過半数の票を獲得するか」になっています。