長野県が誇る銘酒「真澄」はなぜ食通を唸らせるのか?蔵元にそのこだわりのと美味しさを聞いてみた
目指すのは、嗜好性を持った日用品
「真澄」と言えば「7号酵母」を連想する日本酒好きは多いでしょう。7号酵母とは、1946年にこの宮坂醸造の「真澄」のもろみから分離された清酒酵母。穏やかな香りと強い発酵力が特徴です。 宮坂さんは大学卒業後、2年ほど三越伊勢丹で販売に携わり、その後、宮坂醸造へ入社したという経歴の持ち主。そして、蔵に帰ってきて最初に取り組んだことが、『7号酵母』への原点回帰だったそう。 「18号や19号など、日本酒には華がある酵母がたくさんあります。もちろん18号や19号も素晴らしい。華やかだし、インパクトがあります。そういう意味では、7号は控えめに映るかもしれません。でも『真澄』をつくるからには、代名詞でもある7号酵母で勝負したいと思いました」と振り返ります。 宮坂醸造では、「真澄」を地元・諏訪大社にも納めています。 「古来から、『米』には霊力が宿ると言われていました。そして、その『米』からつくったお酒は、人と神様、人と人を繋ぐものとして大切にされています。神社では、朝御饌・夕御饌(あさみけ・ゆうみけ)でお酒が出て、その後、直会(なおらい)で人々がお酒を酌み交わします。人と自然が繋がる瞬間として、日本で淡々と受け継がれてきた伝統のひとつ。これは『真澄』の理念でもある『人と自然と時を結ぶ』というものにも通じます。蔵元として、諏訪大社のあるこの地で、御神酒をつくることができるのは誉だと思っています」
まとめ
猛暑の夏は、ひんやり冷酒が美味しく感じられるかと思いますが、少し暑さの和らぐ10月には諏訪の酒蔵を巡るイベント「上諏訪街道 まちあるき吞みあるき」が開催されます。 「セラ真澄」の目の前にある道路で、約500mに軒を連ねる五つの酒蔵を歩いて巡り、まちあるきと銘酒を堪能できる日本酒好きにはたまらないイベント。日本酒を片手に諏訪の地で飲み歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか。 ●上諏訪街道 まちあるき吞みあるき 日時:2024年10月5日(土) 時間:13:00~17:00
取材・文◎加藤朋子