巨大地震想定し実践訓練 設定知らせず本番さながら 成田空港
成田空港で震度6強の巨大地震発生を想定し、被害状況などの設定が事前に知らされない状況で、本番さながらに対応する実践的訓練が6日、初めて行われた。成田国際空港会社(NAA)と日本航空(JAL)、慶応大学が共同で実施。空港スタッフ68人が訓練に参加し、旅客役の同大学生43人を相手に避難誘導や救護活動に臨んだ。 第2ターミナルの1階国際線到着ロビーや2階通路など複数エリアを会場とした。地上係員や客室乗務員、店舗スタッフ、警備員などが会社の垣根を越えて参加し、突然起こる災害と同様に被害状況や旅客役の配置などの情報がない中での対応にどのような課題が出るか確認した。
旅客役の学生は足や頭に重傷を負った人やはぐれた親子、テロ発生と勘違いしてパニックになる外国人などを演じ、旅客同士がトラブルになる場面も作った。訓練を監修した同大環境情報学部の大木聖子准教授は「さまざまなことが起こる中、動揺する人をケアしながらも命に関わる所に人員を割けるよう判断するのが重要」と説明した。 訓練の制限時間は25分間で、参加者はけが人含む旅客役を数人除いて施設外に避難させた。入社12年目のJAL地上係員、小野塚咲子さんは「重傷者が多い場所で4人がかりで担架搬送した際、重傷者対応に当たる人員が減ってしまった。搬送と同時に応援を呼んでくる判断をすべきだった」と反省点を挙げた。 大木准教授が訓練の映像を分析し、課題を踏まえて来年度に2回目を実施する予定。NAA担当者は「空港全体の対応力強化へマニュアルに生かす」とした。