「核兵器と人類、共存させてはならない」 日本被団協、きょうノーベル平和賞授賞式
被爆者の全国組織、日本被団協は10日、ノルウェー・オスロでノーベル平和賞の授賞式に臨む。受賞演説をする田中熙巳(てるみ)代表委員(92)は9日、現地で記者会見し、「最大限の力を振り絞り、核兵器と人類は共存させてはならないと若い人たちに伝えたい」と意気込んだ。 【画像】原爆投下の8月6日とらえた5枚だけの写真 田中さんはノーベル研究所で会見。「核の脅し」を繰り返すロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢に触れ「核が軽く語られる時代がきて、悲しい」と嘆いた。核抑止論に対し「命と財産は核兵器で守ることができないと確信している」と強調。若い世代へ未来を切り開く行動を期待した。 被団協の代表団は8日夜にオスロ入りした。オスロ市庁舎である授賞式では、箕牧(みまき)智之代表委員(82)=広島県被団協理事長=と、田中重光代表委員(84)=長崎原爆被災者協議会会長=も登壇し、賞状とメダルを受け取る。ほかにも広島、長崎の被爆者や高校生平和大使たちが参列する。 日本被団協は1956年結成。国の戦争責任を問い、原爆被害に対する償いを求める一方、核軍縮に関する国際会議などに出向いて被爆の惨禍を証言し、国内外で核兵器廃絶を訴えてきた。 ノーベル賞委員会は授賞理由でこの79年、戦争で核兵器が使われなかった事実を踏まえ、「日本被団協と被爆者の代表らによる並外れた努力は、核のタブーの確立に大きく貢献してきた」とたたえた。ウクライナ情勢などで核使用の危険性が高まる中、国際社会に警鐘を鳴らす狙いもある。 日本関連の平和賞受賞は「非核政策の推進」などを理由とした74年の佐藤栄作元首相以来で50年ぶり、2例目となる。2017年に、核兵器禁止条約制定への貢献で非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))が受賞した際は、広島で被爆したサーロー節子さん(92)が授賞式で演説した。
中国新聞社