これが森保ジャパンの限界。日本代表はお先真っ暗。選手側からSOS、もはや職務怠慢の域に【アジアカップ2023】
●アジアカップで露呈したサッカー日本代表の限界 サッカー日本代表は3日、AFCアジアカップカタール2023準々決勝でイラン代表と対戦し、1-2で敗れた。大会前には優勝という目標を高らかに宣言した森保一監督だったが、結果も内容もそれとは程遠いものだった。カタールで見た現実は、森保監督が率いる日本代表の限界だった。 【アジア杯順位表・トーナメント表】AFCアジアカップ カタール2023 「後半の入りは悪くなかったんですけど、追加点のチャンスが1個、2個あったところで決めきれなかった。やられる雰囲気があったわけじゃないですけど、セカンドボールを拾えなかったり、相手に先に触られてみたいなのが2個、3個続いた」 こう振り返ったのはキャプテンの遠藤航だった。押し込まれる時間が続いたことで、「うしろ(ディフェンスライン)に入って数的優位を作ろうとした」と状況を打開しようと試みるも、流れを変えることはできなかった。「そこの対応力はまだまだ、日本に求められるのかなと思います」と反省の弁を述べた。 「結果論というか、結果的に負けてしまっているので、5バックにした方がいいかみたいな話になるが、このまま勝っていればそのままが良かったという話になる。4枚がいいのか、5枚がいいのか、チームとしてこれからしっかり反省して、何が必要なのかを探っていきたい」 遠藤はチームとして課題を修正していく必要があると述べたが、ここでいうチームを主体的に動かすのは誰なのか。現状では、遠藤らを中心とする選手たちが自主的に問題点をあぶり出して、それを森保監督が取捨選択して決断することが多い。この試合でも明確な解決策を提示した痕跡はなく、交代カードも南野拓実と三笘薫を入れただけだった。 活動期間が限られる代表チームでは交代カードが有効な修正方法になる。森保監督は「延長戦の勝負になることも考えた」中で交代をためらったというが、あの劣勢の状況が続く中で動きがなかったというのは愚策でしかない。 ●「もう正直に言っていかないと」選手側から出たSOS 守田英正は、「いろいろ考え過ぎてパンク」していたという。「正直なところもっとアドバイスとか、外からこうした方がいいとか、チームとしてこういうことを徹底しようとか、もっと欲しいですね。それはもう正直に言っていかないと」と、半ばSOSにも聞こえる悲痛な言葉を残している。 もちろん、ベンチからの指示がないわけではない。バーレーン代表戦の先制点につながった場面では、マンマークで対応されていた久保建英を右サイドに移すことで中央のスペースを空けて毎熊晟矢をフリーにしたが、これは監督からの指示がヒントになった。試合終盤の3バックへの変更も、もちろんベンチが主導で行われている。ただ、その回数があまりにも少なく、ベースとなる原則がないというのが守田の指摘である。 ボトムアップは組織の形としてはあり得るが、意見を吸い上げてまとめて決断するまでに時間がかかるため、少なくとも試合中には適していない。そして、立ち返るべき根本的な原理原則がなければ、それぞれが見ている景色も揃わない。このやり方はアジアですら勝てないという現実を今大会では見せられたことになる。 選手たちは「個の能力を上げないと」と口を揃えるように言うが、これを鵜吞みにしてはいけない。もちろん、選手自身が自分に矢印を向けることは大切で、自分自身でできることはそれしかない。ただ、よく考える必要がある。ブンデスリーガ3位のクラブのレギュラーが2試合続けて先発を外れ、UEFAチャンピオンズリーグに出場するクラブのエースが代表にすら選ばれないほど、今の日本代表は“日常”のレベルが高い。アジアという枠組みで見て、このレベルの国は日本代表しかない。客観的に見て「個のレベルが低いからアジアで勝てない」わけがない。 それだけの選手を抱えながらのこの体たらくは、チームを預かるスタッフ側に責任があると言わざるを得ない。選手を信頼していると言えば聞こえはいいが、実態は選手任せであり職務怠慢に近い。監督を筆頭にスタッフが本来やるべきことをやっていないからこそ、選手たちに負担がのしかかり、選手に「いろいろ考え過ぎて(頭が)パンク」と言わせてしまっているのである。 日本サッカー協会の田嶋幸三会長は試合後、森保監督について「(進退の検討は)全く考えていません」と述べた。解任すれば解決するという話でもないが、いまのままではお先真っ暗だろう。 (取材・文:加藤健一【カタール】)
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