北村一輝が大切に思う若者たちの言葉 『おっちゃんキッチン』で目指した“昔のテレビ”
民放公式テレビ配信サービス「TVer」のオリジナルドラマ『おっちゃんキッチン』が、9月6日より配信スタート。主演の北村一輝が撮影現場にて囲み取材に応じた。 【写真】『おっちゃんキッチン』縦型映像バージョン 北村演じる“おっちゃん”店主が営む大衆食堂「おっちゃんキッチン」に悩みを抱えた女性客が来店するところから始まる本作。おっちゃんとは世代が異なる女性客が、悩みや愚痴を投げかけるが、おっちゃんは一切アドバイスをしない。心もお腹も満たす絶品料理で答えていく。第1話のゲストは美咲を演じる杏花。 地上波ではなく、TVerで配信されるドラマについて、北村は「『新感覚のものを作りたい』ということを伺って、“面白そうだな”と思いました。時代も変わって、自分もいろいろとチャレンジしたいと思っていたので、『ぜひ参加したい』とこの仕事を引き受けました」とオファーを受けた経緯を明かした。 今回、ドラマを担当するのは、主にバラエティー番組を多く制作している制作会社。通常のドラマや映画とは勝手が違うため、撮影中もスタッフと綿密な打ち合わせや意見交換をする一幕があった。キャストも介入してドラマづくりをしていくこの状況に「それが逆に楽しくて」と北村。「僕たちはプロの方の中でいつもやらせていただいていますが、決して当たり前のことではないですし、すごく恵まれていること。こうした手探りの状態でやるのもすごく好きで、 楽しんでいます」と笑顔で語った。 そんな北村は共演するゲストの若手俳優にも想いを馳せる。「(本作では)いろんなお芝居が試せるし、自分のいろんな部分も入れられる。僕が若いころにこうした作品があったら楽しいだろうな、と思えるかたちとなったので、若い俳優さんもどんどん楽しんでやってほしいなと思います」と熱い胸中を述べた。 おっちゃんは寡黙で、来店する女性の悩みを聞きながら料理を作っていく役どころだ。そんなおっちゃんについては「僕の役は、(若い女性客が)中年に対する意見をぶつけてくるのをただ受け止めるだけ。ピッチャーとキャッチャーでいうとキャッチャー」と例える。「ただじっと受けているだけなので、(このドラマの)ライバルと言ったら(キャッチャーが主人公の漫画)『ドカベン』かな」と言い、記者を笑わせた。 今回、料理人の役だが、北村自身は料理をするのだろうか。質問を投げかけると「最近は作ってないですけど、料理は嫌いじゃないですし、なんでも作るんですよ。例えばですか? 例えばっていうか……多分全ジャンル作れます」と北村。 続けて「自分も好きで子供のお弁当をずっと作っていましたし、すぐ作れるようにおつまみをタッパーに入れて用意する方っているじゃないですか。あれです。時間をかけたくないし、食べたいときに食べたいので、5分以内に作れるものが多いですね」と明かした。そんな話の流れから、現在ダイエット中だと告白。「今は痩せたいんですよ。カッコよくなろうと思って(笑)。あと5㎏ぐらい痩せようと思っているので、なるべく炭水化物はとらないように頑張っている次第です」とユニークに答えた。 こうして撮影の合間でも疲れを見せず、快活に囲み取材に応じた北村は「若者の本音だと思っているんですよね」と本作の印象を吐露。「テレビ離れもあるなかで、大人になればなるほど(テレビが)面白くなく感じてしまう事実ってあると思うんですよ。TVerドラマと民放との違いと言えば、民放よりも、もう少しリアルを見せられるということ。だから、昔のテレビに近づけられるんじゃないかと思っています。今の子たちが抱えているリアルなことを(作中で)言ってもらい、僕を通して大人の方が『なるほど。こういうふうに思っているんだな』と感じていただければいいかなって」と話した。 ドラマ『おっちゃんキッチン』にとって、北村の語る「本音」というのはキーワードのようだ。 「何かを否定したいわけではないんですけど、言論の自由があるようでないような時代になって、生きるのも難しいときに、一番言葉を発するのって若者だと思うんですよね。僕は若者の言葉ってすごく重要だと思っていて、間違いもあるかもしれないけど、逆に正解だけがいいものなのか? そのなかには、勢いであったり、考えさせられるものだったりがあると思うので、僕もそういった若者の言葉を引っ張り出したい。『今の時代の本音』が見えるドラマになると思うので、こんな固い時代に本音を聞きたい方は、ぜひ観ていただきたいなと思います」とアピールしていた。
浜瀬将樹