「14番を新人にわたすのか!」石川祐希は“スター軍団”ペルージャで歓迎されている? 現地記者が聞いた“バレーボールを愛する街”の本音
広報も驚いた“イシカワ効果”
新しいサポーターたちの懐疑的な目は高い期待の裏返しだ。イタリア屈指のバレー熱を誇るペルージャの町を石川祐希がさらにヒートアップさせているのは、数字の上からも明らかだ。 彼の入団発表がされたのが5月14日だが、その日を境にクラブのSNSフォロワー数は爆発的に急増した。インスタグラムは23万人から28万5000人、Xでは1万5000人から3万1000人と倍増。 アクセスの最高記録を叩き出したのは、チームに合流したばかりの日本代表キャプテンをハリー・ポッターの箒に跨がらせた8月20日公開の動画だ。撮影30分、編集1時間で急ごしらえした企画にもかかわらず、再生回数は驚愕の124万回を記録した。 「おそらくイタリア・バレー界全体で見ても史上最多だろうね。アクセスは日本からだけじゃなくアジア全域からの数字もすごい。うちのクラブのグローバル化は他のクラブより抜きん出ている」と広報担当者は感嘆する。 石川は新しい町、新しいクラブでどう過ごしているのか。 ペルージャ入りしてから10日ほど経った頃、人口16万人強の町に彼を訪ねてみた。 山間の、さらに高台にある中心街は、石畳と坂道が織りなす中世の町並みそのもので、そこに現代スポーツの面影を見つけることは難しい。 町の西外れに位置するパラ・バルトンへ練習の取材に赴いた。コートには石川含むパリ五輪組も合流し、チーム全員が揃っている。思わず、息を呑む。 2m半×3mはあろうかという特大ボードに詳細な練習メニューがびっしり書かれてある。練習自体は公開されているが、一般ファンの撮影は禁止。地元メディアですら撮影を許されているのは冒頭の数分間だけだ。常勝軍団を預かる指揮官アンジェロ・ロレンツェッティが情報漏れを嫌がるのは容易に察しがつく。 ウォームアップからブロックワーク、3人レシーブからスパイクディグ、サーブから対面6人セッションと交互に組まれた攻撃と守備の練習メニューが流れるように進んでいく。 「(ペルージャに来てみて)トレーニングがしっかりと運営・管理されていて、オーガナイズされている環境だと感じます。練習に前日のデータが用意されていたり、きちんと組織されたクラブだなと思います。チームメイトのウエイトトレーニングを見ていても皆、しっかり重さを上げているし、周りの質も高い」 練習前に聞いた石川の言葉からは、新天地で大いに刺激を受けていることが伝わってくる。
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