日本最古のハンバーガー屋を訪ねて。
「ほそや」の名物ハンバーガーは和牛100%のパティに玉葱の薄切りを挟んだシンプルなものだが、スパイスのしっかり効いた手捏ねハンバーグをひとつひとつ丁寧に焼き上げ、自家製のソース&マヨネーズと和えて特注のバンズに挟んだその味には奥行きがある。
作り方の基本は先代の遺したレシピを守っているが、「店を長く続けていると、ずっと同じじゃいけないんですよね」と正弘さんは言う。「コンビニのお惣菜だって昔よりおいしくなってるでしょ? それだけお客さんの舌は肥えてるんです。だから、ウチも数年に一度は少しずつ味付けを調整して変化させています。ウチには3代続く常連さんもいますが、『昔は良かったけど、味が落ちたね』と言われたらおしまいですから」。暑い夏場は少しだけ塩気を多めにしたりと、季節や気候に合わせて細やかな心配りをしているというこのこだわりのバーガー、何と350円というから信じられない。「能書きナシ」のもの言わぬバーガーから、老舗のプライドがビンビン伝わってくる。
2010年に亡くなる直前まで店に立ち続けたという初代から店を受け継いで8年、1年半ほど前から、「子供の頃からこの店を継ぎたいと思っていた」という長男の暁裕さんも一緒に店に立ち始めた。3代続く老舗ハンバーガー屋なんて今や本場アメリカにだって多くはない。「何とか100年までやってみたいですね」とは3代目の頼もしい言葉。「日本最古」の“ディフェンディング・チャンピオン”の座は、まだまだ譲られそうにないのである。
インフォメーション
◯宮城県仙台市青葉区国分町2-10-7 大内ビル1F ☎︎022・223・9228 11:30~22:00、日・祝~20:00 無休(コロナウイルスの影響により営業時間に変更あり) photo: Keisuke Fukamizu, text: Kosuke Ide(2018年9月 857号初出) ※年齢などは取材当時のまま掲載しています。
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