すまん、金を貸してくれ…年金月22万円の72歳男性、わが子に金を無心。定年退職時の貯金3,000万円を使い果たした「まさかの理由」【FPが解説】
孤独からくる「買い物依存」を救う4つの対処法
思わぬ理由から老後破産に追い込まれてしまった鈴木さんですが、今後どのような対策をとることができるのでしょうか。考えられるのは、以下の4つです。 1.専門機関や専門家に相談する まずは、鈴木さん自身が買い物依存症であることを自覚し、保健所や依存症の専門機関などに相談をしてみるといいでしょう。ひとりで抱え込まずに、周囲に助けを求めながら解決していくことが大切です。 同じ問題を抱える人の自助グループに参加すると、仲間と一緒に悩みに向き合うことができ問題が解決しやすくなるほか、借金に関する問題は弁護士に相談することで解決できる可能性が高まります。 2.クレジットカード利用をやめ、現金払いにする 現金払いに比べ、クレジットカード払いは「お金を使っている」という感覚があまり持てず、知らぬ間に使い過ぎて利用金額が高額になっていることがあります。 クレジットカード払いから現金払いに切り替え、1日に使える金額を決めたり、家計簿をつけたりするなど、お金を使い過ぎない工夫が必要です。 3.子どもの近くに引っ越す 鈴木さんの近くに親しい友人がおらず、孤独や寂しさを感じているのであれば、子どもの近くに住居を移すことも一案です。子どもや孫とのつながりを確保し、心機一転、新たなコミュニティで居場所を探してみるのもいいかもしれません。 4.シニアでも無理のない範囲で働く 現在は、シニア向けのアルバイトやパート、シルバー人材センターなど、シニアの仕事の需要が多くあります。 内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、70~74歳の就業者の割合は男性が41.8%、女性は26.1%と、70代でも多くの人が働いているのです。 お金を稼げるだけでなく、社会とのつながりを持ち「やりがい」や「生きがい」を感じられるということから、あえて老後も働くことを選択している人も少なくありません。 「老後の三大不安」を軽減するためにできること 退職すると、人と話すことが極端に減り、孤独や寂しさから高齢者が詐欺などの被害に遭いやすくなる傾向にあります。 また、孤立化はうつ病や認知症のリスクも高まるといわれており、孤独死にも繋がります。いざというときに身近に相談できる親しい人がいないことは、高齢者にとって大きなリスクです。 豊かな老後を送るためには、資金準備だけではなく、心身ともに健康で豊かに過ごせるような環境を整えることが大切です。 「老後の三大不安」といわれる「健康」「お金」「孤独」。少しでも不安が減らせるよう、お金や健康だけでなく「人とのつながりや生きがい」を意識して生活してみることをおすすめします。 松田 梓 株式会社FP STYLE 代表取締役/ファイナンシャルプランナー
松田 梓