東京五輪代表決定も1年延期の影響で全英V”ポイント貯金”が目減りの渋野日向子がピンチ?!
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大のため東京五輪が1年延期となったことに伴い、男女各60人の五輪出場選手の決定期限も当初より1年延長されることになった。国際ゴルフ連盟(IGF)が4月29日に発表したもので、男子は来年6月21日まで、女子は同28日までの世界ランキングにもとづく五輪ランキングで決まる。当初は男子が、今年の6月22日、女子は同6月29日時点の五輪ランキングで決まる予定だった。 東京五輪の出場選手は基本的に各国・地域の五輪ランキング上位の2人、15位以内なら4人までが出場可能。ランキングに反映される世界の主要ツアーは現在、延期や中止となっており、世界ランキングは男女とも3月中旬から凍結されている。 日本勢は男子が22位の松山英樹が最上位で、今平周吾が41位、石川遼が97位。女子は畑岡奈紗が4位で、渋野日向子が12位、鈴木愛が14位で続いている。 女子は現在、この3人に自力での代表入りの可能性がある。だが、”アフターコロナ”の勢力図が、このまま推移するかどうかは疑問だ。 五輪ランキングのもととなる世界ランキングの仕組みが、その理由。世界ランキングを決めるのは、直近2年間の成績が対象となるが、直近、13週間の成績が、より重要視される。それ以前の各試合で獲得したポイントは徐々に減算されていく方式だ。ランキング対象期間の獲得ポイントを出場試合数で割った平均ポイントでランキングが決定される。ちなみに、今年の最初の世界ランキングは畑岡が6位で5・62ポイント、渋野が11位で4・76ポイント、鈴木が15位で4・28ポイントだった。 五輪の代表選考が1年延長された影響は、どの選手も例外なく受けるわけだが、とりわけ厳しい状況となるのは昨年「スマイル・シンデレラ」と呼ばれ、大ブレイクを果たした渋野だろう。
国内でも無名の存在だった渋野は昨年5月に「ワールドレディス選手権サロンパスカップ」でツアー初優勝をメジャーで飾り、同8月の海外メジャー「AIG全英女子オープン」も制した。海外メジャー優勝の獲得ポイントは「100」と国内メジャーの約5倍。一気に世界ランキングも躍進した。 全英で獲得した100ポイントは、東京五輪がカレンダー通りに開催されていたとしたら、代表選出の6月29日時点では約61ポイントにまで目減りしていた計算となるが、1年延長となるとさらに大きく減少する。 もう少し詳しく書けば、予定通りに五輪が開かれていた場合、国内は「アースモンダミンカップ」から2018年の「ニッポンハムレディス」までが対象試合で、直近13週のアースから「ヤマハレディース」までのポイントは掛け率1でポイントの減算はないが、アースから14週前の「アクサレディス」は、掛け率0・9891、15週前の「Tポイント×ENEOS」は同0・9783、16週前の「明治安田生命レディス」は0・9674と、試合をさかのぼるごとにポイントの減少幅は大きくなり、今年6月の五輪代表決定時点で、昨年の全英の掛け率は、0・6196で優勝の100ポイントは約61ポイントにまで減少し、1年延期されたことで、2021年6月の五輪代表決定時にはさらに大きく減少。2019年の全英優勝の獲得ポイントを掛け率から計算すると約5ポイントにまで減少することになる。 現在は世界ランキングが凍結されており、凍結期間がどのように考慮され、どういう掛け率になるか分からない。だが、大幅に減ることは間違いない。五輪の1年延期で渋野の衝撃的なメジャー制覇で得たアドバンテージはなくなったと見ていい。 渋野は、先月19日に「KKT杯バンテリンレディス」の特別番組にオンライン出演。「(東京五輪が)延期にビックリはしましたけど、やることは変わらない。一試合一試合を大事にして、出られるように頑張りたいと思う」といつものしぶこスマイルで話していた。