1億円あれば「FIRE」できるそうですが、シンプルな暮らしならそれほど貯蓄がなくても働かずに暮らせるでしょうか?
近年、日本でも少しずつ話題となっていた「FIRE」ですが、筆者のところにも「1億円あれば「FIRE」ができるのでしょうか?」という相談が寄せられたこともあります。そこで本記事では、「FIRE」の概要や日本における実現可能性について書いていきます。
「FIRE」って、そもそもなに?
2020年頃から雑誌などにも取り上げられて、話題が広まってきた「FIRE」ですが、これは「Financial Independence Retire Early」の頭文字をとった言葉です。 「Financial Independence」は「経済的に独立する」、後半の「Retire Early」は「早期退職」と訳し、「早期に退職して経済的な自立をする」という意味になります。 この考え方はアメリカから発信されたもので、インフレ率以上の運用を行い、運用益とインフレ率の差で生活を行っていくというものです。 アメリカの「FIRE」は「4%ルール」という考え方がもとになっています。指標となるアメリカの投資対象「S&P500」は、第二次世界大戦後の75年間の平均利回りが年率7%ありました。同じ期間のインフレ率は3%であったことから、「7%から3%を引いた4%の利回りが得られる」ということになっています。 例えば毎月の生活費が30万円だとすると、年間生活費は360万円です。運用利回りからインフレ率を引いた4%の利回りから、この額を得られれば生活ができる、ということになります。投資元本にすると360万円÷4%=9000万円となります。 今回のケースにおける元本は、上記例と近い金額となる1億円です。1億円を7%で運用し、インフレ率の3%を引くと、4%の運用益は400万円となります。月額換算では、約33万円を得ることが可能になると考えられます。
アメリカと日本のインフレ率や運用益の違い
では、日本でも同じように「4%ルール」が通用するのでしょうか。国際通貨基金(IMF)の調査によれば、日本における1980年から2023年までのインフレの年率は0.86%となっています。アメリカと同じように「4%ルール」を適用しようとすると、5%程度の運用利回りがあれば、実現可能ということになります。 図表1