「YouTubeのゲーム実況動画」は違法?セーフ? ゲームの映像は「映画の著作物」として扱われる
■ゲームのジャンルによる“傾向” このように、ゲーム会社のガイドラインの内容はまちまちですが、傾向としては、対戦ゲームの場合は許諾の範囲が広いことが多く、テキストを読み進めていくことでストーリーを楽しむタイプのアドベンチャーゲームやノベルゲーム(以下、アドベンチャーゲーム等)の場合は許諾の範囲が狭いまたは許諾をしないことが多いです。 アドベンチャーゲーム等の場合、ゲーム実況動画でそのゲームの重要な部分やエンディングを見てしまうと顧客候補の購買意欲が低下し収益低下をもたらす可能性が高いためだと思われます。
つまり、ゲーム実況動画の配信は、「一律適法」でも「一律違法」でもなく、「そのゲーム会社がどのように許諾しているか(許諾している範囲内かどうか)」により変わります。ゲーム実況動画を配信しようとするときには、事前に必ずゲーム会社のガイドラインを確認しましょう。 ガイドラインに違反する形でゲーム実況動画を配信した場合、「ゲーム実況動画はゲームの宣伝になっているからいいじゃないか」「他のゲームの実況動画配信は許されているのにおかしい」といった反論は通用しません。
ある男性が、ゲーム会社が著作権を持つアドベンチャーゲーム等の実況動画をYouTubeに投稿しましたが、このゲーム会社は、このアドベンチャーゲーム等の実況動画配信をガイドラインで許諾していませんでした。そして、この実況動画には、いわゆる“ネタバレ”になるエンディングの実況まで含まれていました。 また、この男性は、このゲーム会社以外の会社が著作権を有するアニメ動画のダイジェスト動画の配信もしていました。この男性は、2023年5月に著作権法違反の疑いで逮捕され、その後同年9月7日、懲役2年および罰金100万円、執行猶予5年の有罪判決が言い渡されました。
この判決では、「被告人には、各作品の著作権を侵害しようとする強い意図まではなかったにせよ、本件は、各作品の商品価値を失わせて収益低下をもたらしたり、作品の品格を落としたりするなど、各著作権者に大きな金銭的被害をもたらす可能性があった犯行といえる」「被告人に収益目的があったのも事実で、実際、多額とまではいえないものの、本件犯行により推計で22万円程度の収益を得ていることも軽視できない」と判示されています。