人身被害あった鹿角市の山林のクマ 「今後積極的に人襲う可能性」専門家が指摘 観光地は電気柵で対応【秋田発】
電気柵に監視カメラ…対策を強化
ところで、相次ぐクマの出没は、私たちが楽しめるように整備された観光地ももはや例外ではない。北秋田市の伊勢堂岱遺跡は、訪れる人が安全に見学できるように対策を強化し、クマが近づきにくい環境づくりをしている。 4つの環状列石を楽しむことができる伊勢堂岱遺跡は、2021年に「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一つとして国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。登録を追い風に、年間の来場者数が増えている。 一方で、周囲に森が広がる遺跡の敷地内では、2017年に市の職員がクマに襲われけがをした。 そこで、来場者の安全を確保するために電気柵が設置された。敷地を囲むように約1kmにわたって設けられている。また、柵の周りの草は1カ月に2回刈り取られている。 それでも2023年は電気柵の外側でクマが目撃され、2024年は新たに動物用の監視カメラを2台設置した。動物を感知すると自動でシャッターが切られ、市の担当者に通知が届くシステムだ。 さらに遺跡周辺の木を伐採し、いわゆる「緩衝帯」を広げた。 2024年はこれまでに敷地内でクマは目撃されていないが、万が一クマが出没した場合は、来場者を速やかに建物の中に避難させるマニュアルを作成している。 北秋田市観光文化スポーツ部・榎本剛治係長は「草刈りの頻度を増やしたり、カメラの台数を増やしたりして安心安全な環境の整備をしている。ぜひ世界遺産の伊勢堂岱遺跡に来て、遺跡の価値を知ってもらいたい」と安全性をアピールした。 クマの出没の可能性がある場所では、電気柵や緩衝帯を広げることが効果的とされている。開会中の6月県議会では、緩衝帯の整備を盛り込んだ補正予算案が審議されているが、“いますぐに効く対策”は難しいのが現状だ。 「自分の命を守れるのは自分だけ」。それを肝に銘じて行動する必要がある。 (秋田テレビ)
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