ラグビーコラム 長田智希は埼玉の王座奪還へ「社員と選手」「CTBとWTB」〝二刀流〟で奮闘中
【ノーサイドの精神】ラグビーのリーグワン1部はレギュラーシーズンが第13節まで終了した。埼玉は開幕から13連勝の勝ち点61で首位を快走中。上位4チームで争うプレーオフへの進出を、同52で2位につけるBL東京とともに既に決めている。昨秋のW杯フランス大会日本代表CTB/WTB長田智希(24)は今季ここまで全試合に出場。体を張ったプレーでチームの負けなしに貢献している。 12日のBR東京戦(秩父宮)では、それまでWTBでの起用が多かった長田はCTBで先発した。43-14とリードした後半27分。敵陣で、相手が左に展開しようとしたパスをインターセプトに成功。そのまま走り切って今季8トライ目。フル出場で50-26の快勝に一役買った。ロビー・ディーンズ監督(64)は長田について「(CTBで)ゲームタイムをもらえた。(他選手との)新しいコンビネーションで試合ができた」と評価。本人は「まだまだですね」と自己評価したが、選手層が厚い埼玉で2つのポジションで安定したパフォーマンスを出し続ける。 2022年に埼玉へ入団し、昨シーズンはリーグの新人賞を獲得。日本代表に初招集されると、秋のW杯では3試合でプレーした。チームでは今季から全体のリーダーグループに名を連ねる。「結構、自分に集中することが多いので…やれることを考えていかないと」と頭をかくが、京都・神川中の先輩でもある主将のHO坂手淳史(30)は、東海大仰星高(現東海大大阪仰星高)と早大で主将を務めた経験を持つ長田に「プレーでインパクトを残し続けてくれている。リーダーとしての動きも今後、重要になってくると思うので」と期待を寄せる。 プロ選手が多くなりつつある中、長田は社員選手として活動。競技への取り組みに理解を示してくれる会社に感謝を示した上で、スポンサーへのあいさつ回りや、チームのウエアの選定や選手のサイズ確認などの業務を行っているという。 「自分が求められた役割を全うする。チームに貢献できるように」。レギュラーシーズンは残り3試合。多方面で欠かせぬ存在の長田が、リーグ1位突破&5月のプレーオフを制しての「王座奪還」に向けて引っ張る。(石井文敏)