山口県警本部

　山口県警が2022年、米軍関係者を強制わいせつ容疑で書類送検し、山口地検岩国支部が不起訴処分としていたことが分かった。県警は非公表としていた。米軍関係者による性暴力事件を巡り、沖縄で複数の事件が公表されていなかったことが相次いで判明しており、岩国市に米軍岩国基地がある山口県でも同様のケースがあることが明らかになった。 山口県警に熊坂本部長が着任　「県民目線で仕事」 　県警刑事企画課は非公表の理由について「公益上の必要性や被害者のプライバシーへの影響を考慮して判断した」と説明。送検した警察署や、事件の具体的な時期などの概要は明らかにしなかった。公表の基準は「事件ごとに判断している」とした。山口地検も不起訴の理由について「答えを差し控える」とした。 　沖縄では先月25日、米兵が少女を誘拐しわいせつ行為をしたとして3月に起訴された事件が報道発表されていなかったことが判明。その後も米兵による複数の性犯罪事件が公表されていなかったことが相次いで明らかになっている。 　山口県は沖縄での問題を受けて18日、米軍施設の関係自治体への情報伝達のあり方について国に照会した。今月上旬には、過去に未発表の事案がなかったかも照会。国からは「捜査機関の活動内容に関わるため、答えを差し控える。個別具体的な事案の内容に応じ適切に対応している」と回答があったという。 　県は今回明らかになった事件については把握しておらず、「国から適切に情報提供しているとの回答があったため、（個別の事件について）改めて国に照会はしない」としている。 　米兵の犯罪に詳しい日本大の信夫（しのぶ）隆司名誉教授（日米外交史）は「米兵に日米地位協定上の『特権』がある中、事件の公表は米軍への監視の目や犯罪抑止にもつながる」と指摘。「発生場所などを特定されないようプライバシーに対応して公表することは可能。市民の不安を和らげるためにも必要なことだ」としている。