久々に中国名物「パクリカー」が登場! タイでお目見えした「ORA 07」は堂々ポルシェブースの隣だった
ポルシェのコピー車は「タイ国際オートエキスポ」でも大人気!?
日本でも中国メーカーであるBYD(比亜迪汽車)のBEV(バッテリー電気自動車)が注目されているが、かつての中国車といえば「コピー車」が名物であった。ベース車をコラージュとか、モチーフといったレベルではなく、なんらかのルートで入手したCAD(コンピューター支援設計)データなどをもとに、そのままコピー車を生産してしまうという「荒技」を得意としていた。 【写真】「タイ国際オートエキスポ」に突如現れたカローラのライバルとは!? なぜ中国車ではコピー車が当たり前だったかというと、たとえばある自動車メーカーで新型車を出すための役員決裁をもらうときに、コピー車だと即決されることが多かったとも聞いたことがある。 当時の自動車メーカーの役員といえば、バリバリの共産党時代で育ち、そして自動車関連業務で過ごしており、世界のトレンドなどに疎く、創造性を育むともいったような教育環境にも乏しいなかで育ってきたので、若手社員がコンセプトなどをプレゼンしても理解を示す幹部社員がいなかったようなのである。そして、そのような役員から、「ベンツみたいなクルマを作れ」などと暗に“コピー車でいいよ”的な指示が出ていたとも聞いたことがある。 その後、中国メーカーでも世代交代が進み、幹部社員でもアメリカなど西側諸国への留学経験もあり、英語プラスアルファ程度に語学も堪能な人が増えてくると、一気に中国車のクオリティやオリジナル性が高まっていったのだが……。 今回の「タイ国際オートエキスポ(バンコク・オート・エキスポ)」会場内のGWM(長城汽車)ブースへ行くと、久しぶりにやっちゃった的なモデルに出会うことができた。GWMではすでにタイでも「グッド・キャット」という、どこかで見たことのあるような、プレミアムコンパクトBEVがラインアップされているのだが、今回は「これは!」と思うほど、ベースモデルがよくわかる「ORA 07」というモデルが展示されていた。ちなみにGWMブースの隣はポルシェブースであった。 ボディサイズは異なるものの、隣がポルシェブースということもあり、そのイメージがソックリなのは明らか。もちろんガチで競合するモデルでもなく、また「コピー車」といえるほど精巧にそっくりなわけではないが、誰もが「あのクルマに似ている」と言うはずだ。 一般公開日に行くと案の定、一般来場者がORA 07に殺到していた。ちなみに廉価モデルの価格は129万9000バーツ(約530万円)。本物ともいえるポルシェ車のベース車は廉価仕様でも300万バーツ強(約1220万円超)なので、気分だけ味わいたいのならORA 07でもいいかもしれない。 ちなみに中国国内ではVW(フォルクスワーゲン)のビートルにそっくりなBEV(本家は2ドアだけどこっちは4ドア)もラインアップされているので、こちらも近いうちにタイ市場でもお目見えするかもしれない。 「フルコピー」ではなく、「モチーフをいただく」程度に落ち着いたものの、まだまだ「ソックリ車」は中国メーカーのお家芸としてときおり見かけることができる。
小林敦志