廃水から作る独「再利用ビール」 徹底浄化と硬度調整で、持続可能な美酒に
ドイツで、廃水から作ったビール「リユース・ブリュー(再利用ビール)」が誕生した。ミュンヘン工科大学とザイレム・ウォーター・ソリューションズ社、独南部バイセンブルク市が共同で共同開発した。機械的、生物学的、化学的な浄化で固形廃棄物を除去し、化粧品や農薬など人間の活動に由来する物質を除去したあとで、味を良くするため水の硬度も調整。「完全に安全で美味。ビール製造における持続可能な解決策になる」という。購入はまだできない。 このビール、飲んでみますか? ……廃水から作ったビールですが。 ドイツで誕生した、「リユース・ブリュー(再利用ビール)」。 醸造者によると、完全に安全で美味。ビール製造における持続可能な解決策になるという。 ザイレム社のウーベ・ヒューブナー氏 「安心してほしい。下水処理場のものは一切含まれていない。 本当に徹底的な浄化を行った」 廃水は、4つの浄化工程を経てビールに使用。機械的、生物学的、化学的な浄化で固形廃棄物を除去し、最終段階でオゾン処理とろ過を行い、化粧品や農薬など人間の活動に由来する物質を除去する。 水は浄化の後、さらに処理され、ビールになる。 米国の水関連技術会社、ザイレムの担当者ウーベ・ヒューブナー氏 「飲料水水質法の規定よりもきれいな水になる。部分的な脱塩も含まれている。醸造所では、ビールをもっとおいしくするのに、水の硬度を部分的に少し上げている」 「リユース・ブリュー」はザイレムとミュンヘン工科大学、独バイセンブルク市の共同プロジェクトだ。 ミュンヘンの見本市では、違いが分からないと驚く人々。 ナディーネ・クロガルさん 「おいしい。廃水だなんて分からない。まろやかで味もいい」 セバスチャン・ベックさん 「驚くほどうまい。環境に配慮し水を再利用しているのに、普通のビールとの違いを感じない」 ただ、まだ購入はできない。 醸造者によるとこのビール製造の目的は、水処理の可能性と持続可能な水の使い方を示すこと。 ザイレム社のヒューブナー氏 「私たちは現在、気候変動で頻繁な水不足に見舞われている。ドイツでも干ばつの時期があり、地域的な一時的取水制限がある。処理した廃水の再利用が水不足対策の1つだ」