ゴールはどこだ?PGAツアーのメディア戦略 プロゴルフと音楽業界の共通点
ツアーが可能性を見出すのは、国際色豊かな新世代の選手たち。「毎年新たな選手が出てくるのがゴルフの素晴らしいところ。日本からも欧州からも、南米、南アフリカ、カナダからも。2年前、誰もスウェーデンのルドビグ・オーベリ(24歳でツアー1勝)など誰も知らなかったでしょう。各国に優れた才能がある今の状況は、昔よりも優位性があるように思う」。真のワールドフィードの制作を目指す戦略は時流にマッチしたものだ。
音楽業界とゴルフ業界で求められるものは
PGAツアーは1月、投資グループ「ストラテジックスポーツグループ」(SSG)との提携を発表した。交渉中だというサウジアラビア系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド」(PIF)との提携も強力な資本面でのバックアップになることは疑いようがない。
PGAツアーは競技団体として成り立つ半面、ゴルフ界では突出したエンターテインメント部隊でもある。かつて、音楽からプロスポーツの世界に飛び込んだルイス氏は、2つの業界の共通点について「どちらもファンを相手にしているということ」と話した。 「MTVの視聴者層の多くは11歳から15歳。(音楽ファンは)何よりも楽曲について、ミュージシャンについて、最新アルバムに関する情報を知りたがった。一方でPGAツアーは高い年齢層に人気がある。ファンはサイトのリーダーボードでスコアを見て、さらにそのスコアを深く知ろうとする。松山英樹のスコアを追ったら、5連続バーディを取っていた。では、どうやってその5つのバーディを取ったのか知りたい。それをツアーキャスト(ショットリンク)で見ることができる。彼らはデータを欲している」
「音楽とゴルフ。違いはあっても、どちらも究極的にはミッションは同じで、いかにしてファンを作り出し、制作物を楽しんでもらうかに尽きる。ファンが何を望んでいるか、を判断するだけなのです」 すべては聴く人、観る人のために。彼らは興行の基本理念を突き詰めているに過ぎない。(フロリダ州ポンテベドラビーチ/桂川洋一)
桂川洋一