自民が塩谷・世耕両氏に離党勧告、政治資金問題で39人を処分
(ブルームバーグ): 自民党は4日の党紀委員会で、派閥の政治資金パーティーを巡る問題で安倍派と二階派の議員ら39人の処分を決定した。安倍派座長を務めた塩谷立元文部科学相と、参院側のトップだった世耕弘成前参院幹事長については離党勧告とした。党紀委の審査結果を文書で発表した。
安倍派で行われていたパーティー収入の還流(キックバック)は安倍晋三元首相がいったん中止を指示していたが、死後も続けられた。塩谷、世耕両氏は対応を協議した派閥幹部の会合に出席していた。同じ会合にいた下村博文元政調会長と西村康稔前経済産業相は1年間の党員資格停止処分となった。安倍派で事務総長を務めた高木毅前国対委員長は6カ月間の党員資格停止とした。
一方、同派幹部の松野博一前官房長官、萩生田光一前政調会長、二階派の武田良太元総務相ら9人は1年間の党の役職停止とした。安倍派で「5人衆」とされた世耕、西村、高木、松野、萩生田の各氏で処分に差がついた。世耕氏は処分を受け、離党届を提出した。
自民党総裁選を秋に控える岸田文雄首相にとって、政治不信の払拭(ふっしょく)は喫緊の課題だ。NHKが3月8日から3日間行った世論調査で、内閣支持率は前月比横ばいの25%。自民党の支持率は28.6%で政権発足時から10ポイント超も下落している。今回の処分で来週の訪米を前に党内的に一定のけじめをつける形となるが、国民の支持を取り戻すことができるかは不透明だ。
東京大学の谷口将紀教授は、「真相や事実関係の解明が不十分なままの処分であり、処分内容も世論を見ながら重くなった印象」があると指摘。政治不信の払拭や支持率回復にはつながりにくいとの見方を示した。
岸田首相、二階元幹事長は処分対象外に
会計責任者と秘書が立件された二階派の二階俊博元幹事長は、同問題の責任をとって次期衆院選への不出馬を表明しており、処分の対象外となった。また、会計責任者が立件された岸田派の会長だった首相も党紀委員会での審査対象にならなかった。