「宇宙戦艦ヤマト」放送開始50年で1話見直し、痛感した現代への示唆
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 6日に東京・新宿ピカデリーで行われた「宇宙戦艦ヤマト」放送50周年記念上映会を取材した。この日は、1974年(昭49)に日本テレビ系で「宇宙戦艦ヤマト」第1話「SOS地球!! 甦れ宇宙戦艦ヤマト」が放送された当日で、上映会では第1話が放送されたのと同日同時刻となる、午後7時30分に第1話を上映した。 併せて、テレビシリーズ総集編8ミリフィルム版の第1部「さらば地球よ」、第2部「神よ、ガミラスのために泣け」、第3部「愛に生き 愛に死す」も劇場初公開された。初代の「宇宙戦艦ヤマト」を久しぶりに、しかもスクリーンで見ていて、テーマや登場人物のセリフが、現代の人類と世界が抱える課題、問題とも相通じ、示唆を与えるものだと痛感し、作品性の高さに改めて驚かされた。 リメーク版等々も製作、発表されており、誰もが1度はタイトルくらいは聞いたことがあると思う。一方で、特に若い世代では内容を知らない人も少なからずいるだろう。あらすじを紹介すると、舞台は西暦2199年。地球は、侵略を企てる異星人国家ガミラスの攻撃により、海は蒸発し、放射能に汚染され、人類は滅亡の危機にあった。ガミラスとは技術力に差があり、沖田十三艦長率いる地球防衛軍艦隊は、冥王星星域でガミラス艦隊と交戦も、沖田艦を除き壊滅的な打撃を受けた。 その中、火星の観測所で特別訓練中だった古代進と島大介が、墜落した救命カプセルに乗っていて力尽きた、サーシャが残したカプセルを発見。分析したメッセージから、14万8000光年離れたイスカンダル星に、放射能除去装置コスモクリーナーがあるとの情報と、ともに送られてきた波動エンジンの設計図を得た。それらをもとに、第2次世界大戦で沈没した戦艦「大和」を宇宙戦艦として再建造し、人類滅亡の日が、あと1年と迫る中、イスカンダルを目指して旅立つ。 物語の中で、ヤマトのクルー森雪は、ガミラス艦隊を打ち倒していった後の惨状を見て「私たちは、何てことをしてしまったの…」と、あぜんとする。また、古代も「ガミラスの人は、地球に移住したがっていた。地球の人もガミラスの人も、幸せに暮らしたいのは同じなのに戦ってしまった」と後悔。「戦うことじゃない…愛し合うことだったんだ」と、戦ったことが間違いだったと反省する。 「宇宙戦艦ヤマト」第1話放送から50年がたった今、自然環境の破壊等により二酸化炭素(CO2)の排出量が増え、地球は温暖化が進んでいる。また、22年2月から続くロシアのウクライナへの侵攻や、23年10月から続く、イスラエルがパレスチナ自治区ガザに侵攻し、イスラム組織ハマスと戦闘している件など、世界各地で紛争が発生しており、作品と現実が符合している部分は少なからずある。 現実はマンガやアニメのストーリーのようにはいかない。より複雑なものであったにしても、先に挙げたようなセリフの数々や物語は、今の我々にも何らかの示唆を与えるのではないだろうか?【村上幸将】