「いい意味でのダイハツ色」が薄れる懸念も ダイハツ認証不正
元日本銀行政策委員会審議委員でPwCコンサルティング合同会社チーフエコノミストの片岡剛士が12月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ダイハツ工業の車両認証試験をめぐる不正問題について解説した。 【写真】高度経済成長期に販売されたオート三輪・ダイハツ「ミゼット」
ダイハツ、国内すべての工場を稼働停止へ
ダイハツ工業の車両認証試験をめぐる不正問題で、同社は12月26日までに国内4つの工場すべてを停止する。工場勤務の従業員に対しては、賃金補償をすることで労働組合と合意した。 飯田)国内の生産をすべてストップするという方針で、規模が大きくなってきました。 片岡)今回の問題は内部通報がきっかけでした。問題が発覚してから第三者委員会が報告書を出しましたが、直近だけではなく1989年以降から起きており、とても長い話だということがわかりました。 飯田)ここ30年余り。 片岡)一時的なことではなく、構造的に虚偽記載されていた。そのため工場を閉めるなど、抜本的な対策を取るという方向なのだと思います。
関連会社への影響も大きい
飯田)自動車産業は裾野も広いですよね。直接経営している工場に関しては、賃金補償を行うようですが……。 片岡)これが長期化すると、取引先などに対しては直接補償できませんので、悪影響が生じる可能性もあります。ことと次第によっては、自動車業界全体に対しても一定程度の下押し圧力が掛かるかも知れません。 飯田)そうですよね。 片岡)今年(2023年)、アメリカで賃上げ交渉のストライキがありました。大きな会社だったので、自動車生産への影響が大きかったわけですが、今回のことも長期化すればするほど影響は広がるため、規模が大きくなることは容易に予想されますね。
車両の認証試験そのものに問題があるかどうかを検証する必要がある
飯田)この先どうなっていくのか。車両の認証試験をめぐる不正については、以前にも、例えば三菱自動車などがありましたよね? 片岡)そのときに、なぜ「自社は大丈夫なのか?」という発想がなかったのか。認証試験そのものについて、私はよく存じ上げていませんが、認証試験をきちんとクリアできるような形に変える必要があるかも知れません。これだけ不正が広がっているということは、認証試験そのものに問題があるような気もしますので、その辺りの確認も大事だと思います。 飯田)本来であれば、国の機関が認証するところをメーカーに委託している部分があり、仕組み全体がどうなのか。 片岡)それが企業にとって、「きちんと行わなくてもいい」というインセンティブを与えている部分もあるのかも知れません。