<中村悠一>「るろうに剣心」 “最強”比古清十郎の人間味を匂わせる 弱さ、怒り、悲しみ
最強であるからこそ、どこで人間味を匂わせるかが重要だといい、「そこが露骨に見えていると強くなさそうなキャラクターになってしまう」と語る。
「いわゆる強いキャラクターのお話をいただくことはあるのですが、比古は、僕が演じてきた中でも一番ブレがない。かつ登場シーンが限られている。その中で、どのくらいブレを入れるかということですよね。ただ、主人公ではないので、単に主張を強くすればいいというものでもないと思うんです。だから、引くところを引く。でも、『あ、引いたな』と見えてしまうと、キャラ設定が変わってしまうという難しさもある。微調整、さじ加減みたいなものを考えたり、人間味を匂わせるポイントをどこにするかと探ってみたり、そうした作業は、これまで演じてきたほかのキャラクターではあまりないことでした」
◇斉藤壮馬演じる剣心の魅力
中村さんは、比古清十郎を「豪胆」といい、対する剣心は「師匠と真逆」の面があると感じたという。斉藤壮馬さんが演じる剣心の魅力を聞いた。
「繊細なんだろうなと感じさせるお芝居をしていて、それは斉藤くんが生み出した剣心像なんだなと思います。剣心自身、強い人としてずっと描写されてきているけど、実はこれまで何度も心が折れているし、それでも立ち直ってきている。『今もう本当に心が折れちゃうかもしれない』という危うさを感じさせなきゃいけない人物ですから、そういうデリケートなところは、斉藤くんならではの収め方なのかなと、一緒にやらせていただいたシーンでは感じました」
そうした剣心の姿が、「るろうに剣心」という作品の魅力にもつながっていると感じているという。
「『るろうに剣心』はタイトルの通り、剣心の物語なのですが、すごく強いやつが強いまま駆け抜けていくんじゃなくて、主人公が人間的に弱い部分をめちゃくちゃ持ち合わせている。その皮を破っていくと、普通に生きている人たちと同じような面がいっぱいあることが見えてくる。そうした部分は、時代は関係なく、誰もが共感できる部分だと思います。剣心はすごく魅力的で、応援できる主人公だと思うんです。剣心の人間臭いところが、この作品を通しての魅力になっているのかなと感じますね」