最も面白い西田敏行の出演映画は? 稀代の名優の代表作(1)原作者が「映画化したくなかった」と語る問題作は?
2024年10月17日にこの世を去った、俳優・西田敏行。12月6日に公開を控える映画『劇場版ドクターX FINAL』まで、実に多くのドラマや映画に出演し、観客に感動を与えてきた。今回は、そんな偉大な俳優・西田敏行を偲んで、実に約50年に渡る彼のフィルモグラフィーを振り返り、その足跡をたどっていく。(文・村松健太郎)
『悪魔が来りて笛を吹く』(1979年)
監督:斎藤光正 脚本:野上龍雄 出演:西田敏行、宮内淳、斉藤とも子、二木てるみ、夏八木勲、鰐淵晴子、仲谷昇 【注目ポイント】 1974年の映画『沖田総司』でスクリーンデビューを飾った西田敏行は、1979年の『悪魔が来りて笛を吹く』で主演を飾る。横溝正史による同題小説を映画化した本作で西田敏行は名探偵・金田一耕助を演じている。 1976年の『犬神家の一族』(石坂浩二主演、市川崑監督)から始まった空前の金田一耕助ブーム。本作もその流れに与する1作だった。「私はこの恐ろしい小説だけは映画にしたくなかった」という原作者・横溝正史のコメントから始まる予告編のインパクトは、実に強烈だ。 戦後に没落した元華族の様相や一種のタブーを盛り込み、さらに実際に起きた強盗殺人事件もモチーフにするなど、骨太な内容となっている。 『犬神家の一族』以降ということもあって西田敏行演じる金田一耕助は原作通りのスタイルで登場している。 ちなみに、原作の「悪魔が来りて笛を吹く」は金田一耕助シリーズの中でも人気のタイトルで、本作以前にも松田定次監督、片岡千恵蔵主演で、1954年に一度映画化されている。興味のある方は、両作を見比べてみるのも一興だろう。 【著者プロフィール:村松健太郎】 脳梗塞と付き合いも15年目を越えた映画文筆屋。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在各種WEB媒体を中心に記事を執筆。
村松健太郎