漫画家の道捨て、選んだ第2の人生は… 防犯チラシで作品描く千葉県警警察官
千葉県警広報県民課の巡査部長山崎直樹さん(42)は、プロの漫画家として活動した経歴を、防犯チラシ作りに生かし活躍している。さまざまな画風を使い分け、犯罪者の手口や被害の実例を1ページ漫画のスタイルで紹介。「事件事故の抑止につなげたい」と意気込む。(共同通信=井口真之介) 交流サイト(SNS)で知り合った外国人男性に心動かされ、求め通りに送金しそうになる女性に、県警マスコットキャラクター「シーポック」が待ったをかける―。今春から県警がSNSなどで始めた漫画チラシ不定期連載の一つ。自転車に乗る際のヘルメット着用を取り上げた作品もある。 原稿用紙に下絵を描いてタブレット端末に取り込み、色を付けて仕上げていく山崎さん。「広報誌は堅苦しくなりがち。読みやすく、内容も頭に残るものにしたくてね」 茨城県龍ケ崎市出身。幼少期から描くことが好きだった。服飾専門学校を卒業した20歳の時、漫画家を目指すと決めた。翌年、雑誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)の新人賞に作品を応募。佳作に選ばれ、担当編集者が付いた。
アルバイトをしながら作品を紡ぎ、編集者に突き返され続けた約4年間。高校生の恋愛を題材にした読み切り作品でデビューにこぎ着けたが、高揚感はなかった。早々に売れっ子となる若手、とてつもない発想力の先輩…。「自分の居場所じゃない」。心が折れ、見切りを付けた。 27歳で千葉県警に入り、人生を再スタートさせた。交番勤務の時、ひったくりへの警戒を呼びかける防犯チラシのデザインを手がけたのを機に、県警の各部署から依頼が舞い込むようになった。 日本の法律に不慣れな在留外国人向けに昨年、賭博や詐欺に巻き込まれないよう注意を促す漫画チラシを作った。ベトナム語やタイ語に訳して技能実習生らに配ると「分かりやすい」と好評。今年7月前半までに17府県警から「活用させて」との申し出があった。 「漫画なら関心を持ってもらいやすい。多くの人に、身を守るための情報を届けたい」