中国、「隠れ債務」対策に総額210兆円 地方政府の負担軽減図る
【北京=三塚聖平】中国の藍仏安財政相は8日、地方政府が抱える「隠れ債務」と呼ばれる簿外債務に関して総額10兆元(約210兆円)規模に上る対策を発表した。地方債の増発を認めて隠れ債務を圧縮し地方政府の負担軽減を狙う。 【写真】記者会見する中国の藍仏安財政相 中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は同日閉幕した会議で、地方政府の債務限度額を2026年までに計6兆元規模引き上げる決定を承認した。これにより発行上限は29兆5200億元から35兆5200億元となり、地方政府が抱える隠れ債務の解消を進める。 中国メディアによると、藍氏は、これとは別の形で今後5年間で計4兆元の地方債を手当てすると説明。地方債務対策の総額は10兆元に上ると主張した。一連の措置で14兆3千億元規模の隠れ債務を28年までに2兆3千億元規模に圧縮し、地方政府の金利負担を5年間で計6千億元程度軽減するとの見通しを示した。 中国では地方政府の公式統計にカウントされない隠れ債務が膨らんでいる。長期化した不動産不況により、地方政府が主要財源としている土地使用権の売却収入が大幅に低迷しており、金利負担が大きい隠れ債務に対応することが以前より難しくなっている。 直接的な内需対策は打ち出されなかった。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は8日、米大統領選で勝利したトランプ次期大統領の貿易政策が明確になるまで、中国当局が景気刺激策の拡大を待つという金融市場関係者の見方を伝えた。