JR福知山線脱線事故から10年 現場通過列車が哀悼の警笛
あの事故から10年 JR福知山線脱線事故現場で列車が哀悼の警笛 THE PAGE大阪
兵庫県尼崎市で乗客106人と運転士が死亡し、562人が重軽傷を負ったJR福知山線脱線事故の発生から25日で丸10年がたった。現場となったマンション付近では、事故発生時刻の午前9時18分に合わせて黙祷がささげられ、ほぼ同時刻を通過する列車は哀悼の長い警笛を鳴らし、中にいた乗客が手を合わせる姿が見られた。
発生時刻に黙祷、哀悼の意を込めた警笛も
発生現場となった、尼崎市久々知のマンションには、早朝から多くの遺族が訪れ、献花を行っていた。事故当時21歳だった長女の容子さんを亡くした兵庫県三田市の奥村恒夫さん(67)は「10年の月日が流れたがなにも解決していない、10年たっても通過点だと理解しています」などと沈痛な面持ちで話していた。 事故当時、車両の2両目に乗っていて負傷したイラストレーターの小椋聡さん(45)は「毎年来させていただいてますが、10年がたちました。あの時35でしたから...当初自分が思っていた45歳とは違った年を迎えたと思いました」などと話していた。 同日午前9時10分すぎ、現場を通過する列車がカーブで大きく減速。それと同時に、哀悼の意を込め、長い警笛が鳴らされた。同時にその列車に乗っていた乗客がマンションに向かって、静かに手を合わせている姿も多く見られた。
発生時刻に黙祷、遺族「もう帰ってけえへんねん」
発生時刻の同18分には、現場に来ていた遺族や関係者らが、犠牲者への哀悼の意を込めて黙祷をささげていた。親せきを亡くしたという70代の男性は「あの時、現場にもあわてて来たけど、あの混乱は忘れられない。きょうもいつもと変わらず冥福を祈りますわ。けど何を言うても、もう帰ってけえへんねん」などと話していた。 また、同市のアルカイックホールでは、JR西日本主催の追悼慰霊式営まれた。同日午前9時18分には参列者全員が黙祷。犠牲者の冥福を祈った。 事故で夫を亡くした兵庫県宝塚市の原口佳代さん(55)は、早朝に現場で献花を行った後に同ホールの式に出席。「また1年がすぎたという感じです。その日がきたらその日の朝になってという毎日なので、10年というのは自分にはないですね。ただ今年、ずっと取材を続けてくれている在阪のテレビ局が、この10年分の私の生き方をフィルムを起こして特集をしてもらいました。『自分がこの時、こういう風に話してたんだ、これだけ変わってるんだ』と自分が語ってきたことを聴けたのはありがたかったです」と涙ながらに話していた。 原口さんは、26日に兵庫県川西市栄町の「アステ川西」行われる同事故の被災者支援イベント「フレンズかわにし2015」にゲストとして同日午後3時から現在の自身の思いなどを語る予定。 また、同イベントには、事故発生から18時間後に1両目の車両から救出された伊丹市役所勤務の山下亮輔さん。同事故で病院へワゴン車で搬送され、手術や辛いリハビリを体験。それがきっかけで看護師となった松原友子さんらもゲストとして出演する予定となっている。イベントは同日午前11時から午後5時半まで。