【日本市況】株式は反発、4カ月ぶり円安や金融決算好感-債券は下落
債券
債券相場は短中期債を中心に下落。円安進行で日銀による早期の追加利上げ観測が高まっているほか、米長期金利の上昇に対する警戒から売りが優勢だった。新発2年国債利回りは一時0.555%と2008年12月以来、新発5年債は0.71%と09年11月以来、新発30年債は一時2.31%と10年以来、新発40年債は一時2.665%と08年以来の高水準を付けた。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、円安や米金利高が債券相場の重しだと指摘。日銀の植田和男総裁が18日の講演で、12月の追加利上げに向けた地ならしをするのではないかとの警戒感もあると言う。
この日行われた5年債入札については「利回りが0.7%台に上昇したので、需要が喚起されて良い結果となった」と稲留氏はみていた。入札結果によると、最低落札価格は99円95銭と市場予想の99円94銭を上回り、小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は2銭と前回の3銭から縮小した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.81倍と7月以来の高水準。
新発国債利回り(午後3時時点)
外国為替
東京外国為替市場の円相場は対ドルで156円台前半で推移。156円台後半まで円売りが先行し、約4カ月ぶりの安値を付けた後は下げ渋った。18日に日銀総裁が講演を行うことが発表され、12月の金融政策決定会合に向け追加利上げを示唆するとの思惑で買い戻しが入った。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、パウエルFRB議長の利下げ慎重姿勢を受けてドル買いが先行した後は、週末を前に利益確定の円買い戻しが入りやすかったと指摘した。日銀総裁の講演予定も「12月追加利上げに向け、踏み込んだ発言をする可能性があり、利益確定の円買い戻しのきっかけになった」とみる。
一方、関西みらい銀行の石田武ストラテジストは、朝方発表された日本の7ー9月期国内総生産(GDP)は市場予想を上回る増加となったものの、「さほど強くない結果で、日銀の追加利上げへの不透明感につながり、円の重し」と話していた。