「すごい」「上手」「さすが」と子どもを褒めること、実はNG? 「おざなりほめ」は悪い影響も
声かけを変えれば、子どもの行動が変わる! お風呂に入ってくれない、片付けをしてくれない、食事中に席を離れてしまう…などなど、大人も悩んでしまう子どもの「困った行動」。注意しても上手くいかないのは、声をかける方法が間違っているかもしれません。 【マンガで見る】「ほめられないと不安」になる言葉がけとは。 3歳と2歳の子どもたちを育てながらも「これでいいのかな?」と不安を抱えるマコさんに、「モンテッソーリ教育」「レッジョ・エミリア教育」のスペシャリストで、児童発達学の専門家・華子先生がアドバイス。 『子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』から、今日は「避けたいほめ方」についてお届けします! ■登場人物 マコとユウ:子育て中の新米夫婦。「自分たちはこれでいいのか」、不安になりながら子育て中。 アララ:きょうりゅうが大好きな3歳半。あまり言うことを聞いてくれない。 華子先生:島村華子先生。子どもに対する絶対的な尊敬・尊重を基盤にする「モンテッソーリ教育」「レッジョ・エミリア教育」についてくわしい児童発達学の研究者。上智大学卒業後、カナダのモンテッソーリ幼稚園での教員生活を経て、オックスフォード大学で博士号を取得(児童発達学)。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員育成に携わる。 ■「ほめられないと不安」になる言葉がけとは。 ユウさん「華子先生、避けたいほめ方の言葉がけってありますか?」 華子先生「ありますね」 ユウさん「どっ、どんなほめ方?」 華子先生「『すごいっ』『上手っ』『さすが』『えらいね~』です」 ユウさん「(おおう、どれも言ったことあるぞ)どうしてですか?」 華子先生「圧倒的に情報が不足してるからです。『すごいね、上手だね』と親がほめたとき、子どもの立場から見ると、なぜほめられているか理由がわかりません。私はこれを『おざなりほめ』と呼んでいます。おざなりほめを繰り返していくと、ほめられ依存症になる可能性があります。例えば、ほめられないと自信が持てず、外部からの承認でしか自分の価値が見いだせなくなります。そして子どもはほめられるために行動するようになっていきます。ほめられたいという承認欲求が人一倍強くなってしまった子どもは、ほめられなかったときに不機嫌になったり不安になったりするんです」 華子先生「もしくは、もともとブロックを好きな子が『おざなりほめ』をされ続けていると、ほめられなくなったときに自発的に取り組む意欲や興味を失うことがあります」 ユウさん「なるほど…ここまでほめることの影響が大きいなんて思わなかったです」 華子先生「ほめるという行為は、言葉でごほうびを与えることなんです。言葉がけによってはその子の本当にやりたいことの妨げになる可能性があると親は知っておいたほうがいいですね」 ■華子先生のアドバイス:おざなりほめをやめる 「すごいね」「上手」など、具体性に欠けるほめ方は「おざなりほめ」と呼ばれます。子どもには、何がよかったのかが伝わりません。そして、一番の問題は、大人はよかれと思ってほめていたとしても、子どもが「ほめられること」に依存してしまうほか、条件付きの自己肯定感を持つようになるということです。何に対しても常に大人の評価が伴うために、ほめられないと不安になり、外的評価がないと自分に価値を見出せなくなってしまうからです。また、周囲から評価を与えられることに慣れてしまい、自分で判断することをやめてしまうのも問題です。おざなりほめは、簡単に子どもをおだてたり、注意深く見ていなくても言えたりする便利な方法かもしれませんが、実際は子どもから自発性を奪ってしまうのです。 ※本記事は島村華子監修、てらいまき著の書籍『モンテッソーリ教育の研究者に学ぶ 子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』から一部抜粋・編集しました。 監修=島村華子、著=てらいまき/『モンテッソーリ教育の研究者に学ぶ 子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』