野口英世から北里柴三郎へ:新紙幣発行をめぐるドラマ【「新型コロナウイルス学者」の平凡な日常】
一方、東京帝国大学に取り込まれた「国立伝染病研究所」であるが、1916年に「東京帝国大学附置伝染病研究所」に改組。そして1967年、現在の名称である「東京大学医科学研究所」に改称され、今に至る。 ついでにもうひとつトリビアを。第二次世界大戦後の1947年、東京・白金台にある「東京帝国大学附置伝染病研究所」は、その用務の一部が独立し、厚生省所管の「国立予防衛生研究所」が設置される。 「国立予防衛生研究所」はその後、都内を点々とし、最終的には1992年、東京・新宿区の戸山に落ち着く。そしてこの研究所は、1997年に改称される。2024年現在も使われているその名称は「国立感染症研究所」。つまり、現在の感染研である。そう、感染研と、現在私が所属する医科研は、ルーツを辿ると兄弟の関係にあるのである。 ――と、新型コロナパンデミックの裏で着々と進んでいた新紙幣の発行。そこにも実は、感染症をめぐる、大河ドラマスケールのドラマが隠されているのである。 文・写真/佐藤 佳 イラスト/PIXTA