アスリートに総額1000万円の応援費「AthTAG」第2回大賞に陸上男子走り幅跳び吉田弘道
日本初のアスリート×企業の相互支援型社会貢献活動「AthTAG(アスタッグ)」による、総額1000万円の応援活動費を競うピッチコンテスト「AthTAG GENKIDAMA AWARD 2024」が23日、東京・有明で行われ、大賞に陸上男子走り幅跳びの吉田弘道(25=Gulliver)が輝いた。 “おカネを理由に夢を諦めさせない”をテーマに、オリンピック(五輪)や世界大会を目指す「GENKIDAMAアスリート」が参加。約40人のエントリーから選ばれた8選手が登壇し、最終選考で夢や目標を語り、魂の声を発した。 陸上の23年世界選手権ブダペスト大会で日本代表だった吉田が、大賞の200万円を獲得した。幼少期に小児ぜんそくと先天性の心疾患を併発し、運動するのも一苦労だった状態から、走り幅跳びで日本歴代3位の8メートル26を跳ぶまでに進歩したキャリアを紹介。自身にまつわる「10」の数字を軸に、絶妙なプレゼンテーションを成功させて1~3位が1票差だったという大接戦を制した。 兵庫・姫路商高から立命館大を卒業後、地元の陸協で活動。就職先が見つからず、かつて「野良アスリート」を名乗っていた。今夏のパリ五輪には左アキレス腱(けん)痛や活動資金不足で届かなかったが、来年の世界選手権東京大会(東京・国立競技場)や28年ロサンゼルス五輪を目指して再起を図っている。 「去年は、けがして、負けてばかりで。久しぶりに気持ちがいい」と喜びのマイクを握り「僕はつくづく運がいいなと思います。皆さまがたくさんの元気玉を集めてくださることで、これからの自分がある。今はまだ金メダルを取る力はありませんが、素質はあります! 来年、国立で行われる世界陸上に、ぜひ応援に来ていただいて、僕をアテに、ビールを(胃に)流し込んでもらいたいなと思います」と感謝のスピーチをした。 AthTAG公式アンバサダーの柔道野村忠宏、テニス伊達公子、野球古田敦也、バドミントン潮田玲子(敬称略)が、レジェンドアスリートとして第1回に続いて審査員を務め、昨年は総額400万円だった活動応援費も今年は1000万円の大台へ。副賞にはボクシングの前日本スーパーライト級王者、藤田炎村(30=横浜光)が選ばれた。 選手の持ち時間は1人10分で、サーフィン井上鷹(24)スノーボード・クロスの塚原悠翔(21)藤田、アルペンスキー井戸志春(14)デフ陸上・短距離の佐々木琢磨(31)吉田、車いすテニス橘龍平(17)の順にプレゼン。最終の8人目は、フェンシング女子フルーレの東莉央(26=共同カイテック)が務めた。 パリ五輪の銅メダリスト晟良(25=同)の姉で、前回21年の東京五輪では日本初の姉妹出場を果たしたオリンピアン。手首痛からの復帰を目指し、ロス五輪で姉妹そろって親へメダルをかける念願を語って感極まるなど、各選手が、投票権を持つアスタッグ参画企業へ懸命のPRをした。 この表彰式は、早稲田大と京都大のアメリカンフットボール部でQBを務め、TBS、プルデンシャル生命を経て起業したAthReebo株式会社の金沢景敏代表取締役が開催。昨年は500社、今年は1000社と商談してミライアスリートへの支援金を集めた。 締めのあいさつでは「TBS時代に世界陸上のヘルシンキ、大阪、ベルリン大会で中継に携わりました。来年の東京大会では、大賞の吉田選手を応援するため走り幅跳びの決勝チケットを大量に買います」と約束し「アスタッグを立ち上げて1年半。興味ないよ、もうからないよ、等々、いろいろ言われましたが、社会にとって良いことをしているんだ、と堂々と胸を張って、お金の循環を生み出したい。1000社が賛同して集まってくれれば、毎年6億円をスポーツ界に届けられる」と理想を語り、アスリートの勇躍を願っていた。【木下淳】