AIで「親族の声」を生成、「相続乗っ取り」、さらに「震災義援金」まで…詐欺被害者が明かす「ヤバすぎる証言」
前編記事『1000万円以上だまし取られたのに…「あの人はいい人だった」と語る父…巧妙すぎる「詐欺の最新手口」』より続く。 【写真】笑顔が消えていた…水原一平容疑者の変わりゆく表情
「声」も狙われている
近年、とくに手口が巧妙化しているのが、相続乗っ取り詐欺だ。警視庁関係者が話す。 「詐欺師は不動産を持つ高齢者を狙っています。税理士などと名乗って近づき、『これだけの資産を持っていたら相続が面倒になる。スムーズに相続できるように手続きを進めておく』と言って、いつの間にか資産を詐欺師の会社名義に変えるのです」 従来のオレオレ詐欺の進化版がAI音声詐欺だ。まず標的の息子や娘に適当な営業電話をかけ、音声データを抜き取る。そこから声を複製して、その親に「事故を起こしてしまったからカネが必要」などと助けを求め、カネをだまし取るという手口だ。知らない電話番号に出ないこと、金銭の絡む話は前もって親族間で合い言葉を決めておくことが対策になる。 「個人情報が漏洩しています」と言って、カネを騙し取るのが「あなた狙われています」詐欺だ。「電話番号や住所が詐欺師の名簿に載っていて、空き巣に入られるかもしれない」という嘘の情報を伝える。不安になった被害者に「国から認可を受けた弁護士ならば強制的に名簿から名前を消すことができる」と言って、手数料として多額のカネを振り込ませるのが常套手段だ。
善意をも食い物にする
副業ブームとともに増えているのが、電柱詐欺。「国の下請け事業で、電柱を検査するだけでおカネをもらえる」と言ってカネをだまし取る手口だ。都内で建設業に従事する多田剛さん(仮名・47歳)も被害者の一人である。 「知り合いから『いい副業を斡旋している団体がある』と言われて、紹介されたのが電柱検査でした。電柱を検査するだけで報酬をもらえるということで飛びついてしまいました。講習代として1万5000円、専用機器費として250万円を払い、いざ始めても一向に報酬は支払われない。公共事業の下請けだからと信用していましたが、ただの詐欺でした。それどころか、経済産業省のホームページにこの団体は『国とは関係ない』と記載されており、詐欺集団だと名指ししていたのです」 年始には能登半島地震が甚大な被害をもたらしたが、こういった災害の後に必ず現れるのが、ボランティア・募金詐欺である。詐欺・悪徳商法にくわしいジャーナリストの多田文明氏が語る。 「自治体の認可を受けたボランティア団体だと偽り、SNSなどで寄付窓口を知らせて義援金を騙し取るのです。義援金などを振り込むときは、やはり赤十字などの信用できる団体を使うようにしてください」 詐欺被害者を狙う最悪の手口もある。詐欺on詐欺と呼ばれるものだ。 「テレビでも報道されるような大きな詐欺事件があったときに必ず出てくる手口です。詐欺被害者を集めて、『専門の弁護士がおカネを取り戻します』と言って、着手金を振り込ませる。被害者はとにかくおカネを取り戻したいと焦っているので、絶好のカモなのです」(前出・警視庁関係者)