アンディ・ウォーホルが所有していた歴史的な建物、アンジェリーナ・ジョリーのファッションブランド1号店に
女優のアンジェリーナ・ジョリーが立ち上げたファッションブランド「アトリエ・ジョリー」のショップ1号店がオープンした。そこはかつてアンディ・ウォーホルが所有していた歴史的な建物だ。 【写真】バスキアとウォーホルが愛した建物!歴史的な写真と現在の様子 アンジェリーナ・ジョリーのショップは12月5日、ニューヨークのノーホー地区、グレート・ジョーンズ通り57番地(57 Great Jones Street)にオープンした。5月にファッションブランド、「アトリエ・ジョリー」が設立されてから半年、ようやく一般の人も彼女のコレクションを目にすることができるようになった。ここはニューヨークで最も人気のある地区のひとつ。2フロアで600m2強の広さがある店舗の建物は1980年代初頭、アンディ・ウォーホルが所有していた物件で、ここをジャン=ミシェル・バスキアが借りていたこともある。著名なアーティストたちが行き交った場所をアンジェリーナ・ジョリーが引き継ぐわけだ。 賃貸条件はオープンにされていないが、ハードルはなかなか高そうだ。ニューヨークのアート雑誌、「アートニュース」によると、2022年11月の時点でこの物件の賃料は月6万米ドルだった。アンジェリーナ・ジョリーは、当初10年契約を提示されたが、最終的に8年の賃貸契約を結んだらしい。「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙の取材に対し、アンジェリーナ・ジョリーは「おそらく赤字でしょう。それもかなりの期間そうなる恐れがあります」と話している。そして「もしも、自分が前進だと思うことを実行できて、それで収支トントンになれば、それだけでも大きな成果です」と付け加えた。さらにファッション業界メディアの「ビジネス・オブ・ファッション」のポッドキャストに出演した際には、自分の目的はブランドの成長ではなく、このビジネスモデルがうまく行くかどうかだと語った。
革新的なコンセプト
このショップは、女優のブランドコンセプトが反映されたものだ。客にも服の創作過程に加わってもらいたいと彼女は考えている。販売されている服はそのまま購入することもできるが、手直しすることも、完全にリデザインすることも可能だ。ショップスタッフのなかにはアートとデザインの名門校、パーソンズ・スクール・オブ・デザインの学生もおり、刺繍を加えたり、ショップで扱っている生地やボタンを選択したり、あるいは自分で持ち込むこともできる。本当に気に入った服を長く愛用することで、より良いものをより少なく消費することを目指している。「誰もが同じような服を着て流行を追いかけるのは生きている実感がしないし飽きてしまいます」とポッドキャストで女優は語っていた。 客はショップへ自由に出入りでき、「イート・オフビート(Eat Offbeat)」と名付けられた店内カフェでくつろぎながらサンプルをチェックすることも可能だ。このカフェはシリア出身のララ・ジアデら、難民や移民のシェフたちに任されており、バクラヴァ、アシュタ、ケナフェといった中東のデザートを提供している。アンジェリーナ・ジョリーが目指すのは誰もがくつろげる店。壁の一部はグラフィティ・アートで埋まっている。これは改装工事中に発見されたもので、ジャン=ミシェル・バスキアの作品だ。まさに文化遺産的な建物なのだ。