累計約80万食を販売、大学生と共同開発「キャンパスランチパック」とは
山崎製パンと名城大学が共同開発した新商品『キャンパスランチパック』が1日に発売。2014年には5大学と共同開発し、累計約80万食を販売した人気商品だ。近年、大学と企業が共同で商品開発する動きが顕著で、食品や文具、建築、デザインなどジャンルもさまざま。大学と企業が関わる意味や両者のメリットについて、名城大学を例に挙げ紹介する。
学生が新ランチパックを考案
東海・北陸エリアのコンビニや食品スーパーで販売されている、『キャンパスランチパック 明太マヨネーズ風味&チーズ』。開発メンバー代表の伊藤優里奈さん(経営学部3年)は「赤崎勇終身教授のノーベル物理学賞受賞を祝して、教授の名字の“赤”にちなみ明太子を、キャンパス所在地の名古屋市天白区の“白”からマヨネーズを、大学正門からのびるキャンパス名物の長い上り坂をイメージしてとろけるチーズを使うことを考えました」と、それぞれの具材のモチーフを教えてくれた。裏面には商品開発を担当した学生たちのメッセージと似顔絵が描かれていて、伊藤さんは「開発した私たちに親しみを持ってもらいたくて書きました」とのこと。 開発の経緯を、学務センター課長の青山和順さんに聞いた。「2014年10月に企業から学生にプロジェクト概要の説明があり、学生からは75案の応募が集まりました。11月には5案まで絞り、試作品の試食を繰り返し、12月についに最終決定。年が明けて1月から2月はパッケージデザインの調整をして、このたび4月1日発売の運びとなりました」。ノーベル賞の受賞時期と重なったこともあり、関連する商品となったようだ。
ねらいは主体的に学び続ける“実行力ある教養人”の育成
名城大学は、過去にも企業との共同企画の事例があり、農学部附属農場で発見されたカーネーション酵母を使用し日本酒やワイン、アイスクリームなどの商品を開発。企業の協力を得て大学オリジナルブランド『華名城』として製品化までしている。 また、木造住宅の再生プロジェクトとして、理工学部建築学科の柳沢研究室と有限会社工作舎中村建築とが共同で町屋の改修を実施。先月18日に完成した。 学務センターの青山さんは、「これらの共同企画は、本学の開学100周年に向けての戦略プラン・MS-26戦略プランのテーマである“実行力ある教養人”の育成に基づいています。学生時代に実社会に触れ、仕事現場を経験することで、自分に欠けているものを発見し、主体的学習姿勢を育み、卒業後も“生涯学びを楽しむ”基になるものと思っています。加えて、制作にあたっては、学生が大学について調べるため、スクール・アイデンティティの訴求や大学ブランドの創出、大学のPRにもつながると思っています」と、企業と関わる理由を語ってくれた。