小さいことは正義だ! ゴブジ号は駐車スペースで悩むことがありません…でも、隣にはみ出されることはあります【週刊チンクエチェントVol.44】
車内には手が届かない箇所なんてほとんどない
例えば機動力、と言えばいいのかな? 都内のゴチャついた道でも狭い路地でも、まったく躊躇せずに入っていける。何せ運転席に座っていて車体の四隅に自分の手が届くんじゃないか? っていう気持ちになるくらいだから、いうまでもなくクルマの先端とか後端とかモロモロがどのあたりにあるのか、めちゃめちゃ掴みやすい。視界も悪くないから、例えば人ごみの商店街みたいなところに入らなきゃならないようなシチュエーションでもまったく難儀しないし、ちっとも不安がない。ついでに通行人の皆さんから「かわいい♡」なんて声が聞こえてきたりもするし。 何せそういうサイズだから、フツーに走っていて道を狭く感じるということが、ほぼ皆無。道幅や障害物に必要以上に気を使うなんてことも、ほぼ皆無。一般的な往復1車線ずつの道でカーヴが続いたりすると、片側の車線の中だけでアウト・イン・アウトのラインを作りながらコーナリングできちゃうくらいだ。それもまったく危なげなく。 運転席から右にまっすぐ手を伸ばしてちょっと身体を傾ければ、助手席側の窓を開閉するためのレギュレーターを楽勝でクルクル回せるし、三角窓の開閉も、その外側にあるドアミラーの調整もできちゃうし、後ろを振り返って手を伸ばせば後席のどこに置いた荷物だってサッとピックアップできちゃう。車内には手が届かない箇所なんてほとんどないのである。 何より、そのミニマムな感じには得体の知れない楽しさのようなものがあるのだ。ゴヨーショーのミギリに押し入れの中に作った秘密基地に入り込んで遊んでたときの楽しさに、もしかしたらちょっと似てるかもしれない、なんて思ったりもする。ただそこに収まってるだけで嬉しくなるような、そんなミニマムな空間。それでいて助手席を使った2人乗りでもたいして苦にならないくらいの妙な広さはあるし、後席まで使った4人乗りだと狭い空間に人がパンパンに充満してるかのような感覚があって、思わず全員で笑っちゃうようなおもしろさがある。……短距離限定、だけど。