テキストから動画を作れるChatGPT「Sora」を試してみた
しかし、テクノロジーの発展スピードに対して、法的・倫理的なフレームワークの整備が追いついていないのが現状だ。この技術がもたらす恩恵を最大限に生かしながら、いかにしてリスクを最小限に抑えるか。それが、OpenAIと社会に突きつけられた課題となっている。 ■OpenAIが描く次なる一手 OpenAIにとって、Soraの開発には3つの重要な意味がある。第1に、AIと人間の新しい創作の形を探ることだ。クリエイターたちとの試験運用からは、AIによる映像制作の可能性が見えてきているという。
第2に、人間とAIのコミュニケーションを、テキストだけでなく映像を通じても実現することだ。OpenAIは、コンピューターとの対話の方法そのものを変えようとしている。 そして第3に、この技術は「物理世界のシミュレーター」の開発に向けた重要な一歩と位置づけられている。現在のAIは、すでに光や影の変化、物体の動き、基本的な物理法則を理解し始めている。OpenAIは、この技術をさらに発展させ、3次元空間の理解と再現を目指す。そのための基礎技術として、映像生成の精度を高めているのだ。
AIが現実世界をより深く理解できるようになれば、その応用範囲は映像制作の枠を大きく超えるかもしれない。人間の想像力とAIの技術を組み合わせることで、これまでにない表現や活用の可能性が広がろうとしている。
石井 徹 :モバイル・ITライター