テキストから動画を作れるChatGPT「Sora」を試してみた
不動産業界でも活用の余地は大きい。物件の外観や内装を、季節や時間帯を変えて表現できる。まだ建設中の物件でも、完成後のイメージ映像を手軽に制作できる。バーチャルな内覧動画を作れば、顧客の物件選びの手間も減らせるだろう。 製品開発の現場でも、試作段階での活用が期待される。新商品のデザインを動画で確認したり、使用シーンをシミュレーションしたりできる。アイデアを具体的な映像として共有できれば、開発チーム内でのコミュニケーションもスムーズになる。完成前の製品を想定した販促物の制作にも活用できそうだ。
一方で、動画生成AIの普及に対する懸念の声も強い。Wall Street Journalの報道によれば、Soraのような技術は広告業界の雇用に影響を与える可能性があり、業界からは「素晴らしい」という評価と「恐ろしい」という批判の両方が上がっている。 法的な観点からも課題は多い。TechCrunchの報道では、トレーニングデータに関する著作権問題が指摘されている。IP専門弁護士のJoshua Weigensbergは「ライセンスのない動画を使用してAIモデルを訓練する企業は多くのリスクを抱えている」と警告する。
さらに深刻なのは、偽情報拡散のリスクだ。The Conversationの分析によれば、Soraのような技術は「公衆衛生対策を危険にさらしたり、選挙に影響を与えたり、さらには司法システムに偽証拠を持ち込む可能性がある」という。特に、ディープフェイクを使用した個人への攻撃は、被害者とその家族に壊滅的な影響を及ぼす恐れがある。 こうした懸念に対し、OpenAIは複数の対策を講じている。すべての生成映像へのメタデータとウォーターマークの付与は、その一例だ。また、有害コンテンツの生成制限や人物の無断使用禁止といった明確なガイドラインを設けることで、技術の悪用防止を図っている。さらに、専門家との協力のもと、誤解を招くコンテンツの検出ツール開発も進めているという。