福島県内5JAに訓練型農場 各地の主力品目 ベテランが担い手育成 2025年度以降
JAグループ福島は、新規就農希望者が地域の熟練農家から営農技術を学ぶ「訓練型農場」を2025(令和7)年度以降順次、福島県内5JAに設ける。農場で1~2年間、果樹や野菜など地域に応じた主力品目の栽培法などを指導し、産地の担い手になってもらう。遊休農地や引退した農家の資機材・施設の活用に向けた調整にも当たり、希望者の円滑な就農につなげる。25日、福島市のパルセいいざかで開いた3年に1度のJA福島大会で示した。 訓練型農場のイメージは【図】の通り。JAごとに2025年度から3年間で1カ所以上設ける。基本的に指導役の所有する農地で研修を展開する。指導役は地域のリーダー的な農業者を想定しており今後、選定する。研修を通して就農希望者は地域に合った主力品目の栽培技術や農業経営のノウハウを実践的に学べる。指導役以外の農業者と顔の見える関係を築けるので就農後の定着促進にもつながるとJAグループ福島は期待している。
各JAの主力品目の生産者の年齢構成を見ると、70代以上が3~5割を占めている。生産規模の維持と担い手の育成・定着は喫緊の課題となっている。大規模な訓練施設を新たに整備するには費用がかかるため、地域の既存の人材と農地を活用する訓練型農場方式が適切と判断した。 県内には南会津郡の南郷トマト生産組合や昭和村の昭和かすみ草部会など、新規就農者の確保と育成に成功している事例がある。一方で、他にも新規就農者向けの県の認定研修機関が約130カ所あるが品目や地域に偏りが生じ、稼働していない研修機関もあるといった課題を抱えていた。県内の新規就農者は2022年度から3年連続で300人を超えているが、就農後5年経過した人の定着率は6割程度で、地域を挙げた支援が必要となっていた。 JAグループ福島は訓練型農場の利用希望者を全国から募集する方針。今後、県とも協力して情報を発信していく考えだ。研修に必要なビニールハウスなどの施設を整備する場合は関係機関が資金面で支援し、指導者の負担にならないようにする。
JAグループ福島は「従来は『待ち』の姿勢だったが、訓練型農場の設置により積極的に新規就農者を呼び込み、産地の持続化を目指したい」としている。