欧州議会選挙 フランスの右翼「国民連合」はなぜ第1党になったのか
フランス総選挙の行方は
欧州議会選挙での極右勢力の勝利を見て、マクロン大統領は奇襲で国民議会(下院)を解散した。6月30日と7月7日に総選挙が行われる。 世論調査では、過半数289に対してRNが250、マクロン与党と左派連合が130ずつくらい。マクロンは、RNが第一党でも単独過半数を取らなかったらバルバラRN党首を首相にするのは拒み、左派連合にも渡さず綱渡りで乗り切るつもりだ。 穏健な社会党から極左までの左派連合(新人民戦線)が成立したが、政策が極右以上にポピュリスト的積極財政なので経済界も驚いた。マクロンも極右より左派連合を攻撃し始め、過半数を取る政党がなければ非常事態宣言をする噂まで出て、混沌としてきた。 はたして、7月26日のパリ五輪開会式のときの首相はだれだろうか。 マリーヌ・ルペンはますます中道化しているし、極右のイタリアのメローニ首相がそこそこうまくやっているのを人々は見ている。たとえ総選挙は切り抜けても、2027年の大統領選挙では今度こそ悪夢が実現する可能性は消えない。 八幡和郎(やわた・かずお) 評論家。1951年滋賀県生まれ。東大法学部卒。通産省に入り、大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任。徳島文理大学教授。著書に『365日でわかる世界史』『日本人ための英仏独三国志』『世界史が面白くなる首都誕生の謎』など。 デイリー新潮編集部
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