WRC、来季Rally1車両のハイブリッド廃止が正式決定。FIA「もはや最善策ではない」と判断
WRC(世界ラリー選手権)は、2025年から現行のRally1マシンのハイブリッドユニットを廃止すると発表した。 【動画】結局、1番速いのどれ?って話。F1 vs ラリー vs ドリフト vs トラック|レッドブル最強決定レース この決定に関しては以前motorsport.comが報じたように、コスト上昇が大きな要因となっている。2022年から導入された130kWのプラグイン・ハイブリッドシステムは、今年9月に単一サプライヤーのコンパクト・ダイナミクス社がユーザーガイドを更新したことで、ランニングコストがさらに上昇する運びとなった。 コンパクト・ダイナミクス社が公開した新たな規定においては、全てのハイブリッドユニットは15G以上の衝撃を3回もしくは25G以上の衝撃が1回発生した場合に、完全な修復を行なうために分解し、ファクトリーに返送する必要があるとされた。以前は、ラリー中に現場でユニットをリセットすることが可能だった。 特にこういった変更に懸念を示したのが、WRCで唯一完全なファクトリーチームではないMスポーツだ。この問題はすべての関係者の間で協議された後、先日行なわれたFIA世界モータースポーツ評議会で電子投票が行なわれた結果、来年からRally1マシンはハイブリッドではなくなり、完全に内燃機関のみで動くことになる。 FIA のチーフ・テクニカル・セーフティオフィサーであるグザビエ・メステラン=ピノンは、最終戦ラリージャパンを前に下されたこの決定に関する声明の中で、コンパクト・ダイナミクスが供給する現在のハイブリッドユニットは「もはやWRCにとって最善のものではない」として、さらに次のように述べた。 「主要関係者との広範囲にわたる対話の結果、既存のサプライヤー契約の下で提供されているプラグイン・ハイブリッドユニットを使用し続けることは、もはやFIA世界ラリー選手権にとって最善ではないことが明らかになった」 「2027年技術規則の作業展望に沿った開発に基づき、WRCがより良く、より強固なものになることを確信し、前進することができる」 「今回改めて、スポーツとしての見応えを損なうことなく、現代社会の課題を責任を持って受け入れながら適応していくという同選手権の力を浮き彫りにしたと言える」 「また我々は、同選手権が環境負荷を軽減するために行なう取り組みとして、100%持続可能な燃料の使用をその柱としていることも喜ばしく思っている」 WRCでは来季以降も今季のマシンと同じパワーウエイトレシオを維持するため、Rally1車両の最低重量を1260kgから1180kgに引き下げる。さらにエアリストリクターのサイズは36mmから35mmに縮小された。 FIAはまた、今季のラリー・ポーランドに非ハイブリッドのフォード・プーマ Rally1で参戦したマルティン・セスクが活躍したことを例に挙げ、現行のRally1マシンは電気の力を借りずとも戦えることを示していると強調した。
Rachit Thukral