パリ五輪サッカー日本代表、主力呼べぬ苦しい〝台所事情〟 金メダルよりも「クラブ優先」の海外組招集できず…OA枠も全滅
日本サッカー協会(JFA)は3日、原則23歳以下で争うパリ五輪の男子日本代表のメンバー18人を発表した。大岩剛監督(52)は「現在招集できる最高のメンバーを選んだ」と胸を張ったが、最終予選で主力だったMF松木玖生(くりゅう、21)=FC東京=らの主力を選ぶことができず、オーバーエージ(OA)枠も使うことができなかった。お目当ての選手たちを呼ぶことができず、苦しい〝台所事情〟を抱えながら五輪本番を迎えることになる。 (久保武司) 【写真】松木や久保いなくても「特に気にしていない」新ユニホームを着用し撮影に応じる平河、荒木、野沢、細谷、関根、大畑 口頭でメンバー発表をした大岩監督から、最後まで松木の名前は呼ばれなかった。松木の選外について「けがなどコンディションの理由でないことだけは言っておきます」と封印した。 「補足します」と続けたのが山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND、66)だ。「(松木には海外)移籍の可能性があります。招集の確約が取れなかった」と説明。本来は極秘裏に進められる招集交渉だが、あえて松木との交渉経緯を明かし「困難を極めました」と表情は暗かった。 当初、招集を予定していながら実現しなかったのは松木だけではない。MF久保建英(21)=レアル・ソシエダード、MF鈴木唯人(22)=ブレンビー、GK鈴木彩艶(ざいおん、21)=シントトロイデン=の海外組も招集できなかった。 五輪ではJFAに選手を招集する優先権がない。欧州リーグは五輪期間中に新シーズンを迎えるキャンプが始まる。所属するクラブがOKしない限り、招集することができない。 2021年東京五輪で4位に終わり、号泣した久保の姿は印象的だった。パリ五輪でのメダル獲得への意欲もあったはずだが、久保にも「僕がどうしても(パリ五輪に)行きたかった話ではない」とあっさりフラれてしまった。 大岩ジャパンは1968年メキシコ五輪以来、56年ぶりのメダル獲得がミッションだが、本大会直前にここまで戦力ダウンがあからさまになった五輪代表は過去にない。 「金メダルをとって帰ってきます」と優勝宣言こそしたが、笑顔は一切なかった。