年間980億円以上を「浪費」? イギリス王室のお金事情について「公金の乱用」とアンチ団体が厳しく批判
イギリスでは毎年、政府から王室助成金を受け取っているロイヤルファミリーの年間支出額や使い道が公表されるたび、その金額に対する人々の関心が高まる。 【写真】カミラ王妃も、思わず苦笑い...。王室反対派の「Not My King」というプラカードを大量に掲げられる 王室が発表した最新の年次報告書によると、2023-24会計年度(2024年3月末までの12カ月)に王室が受け取った助成金は、およそ8630万ポンド(約166億円)。だが、君主制の廃止を訴える市民団体、「リパブリック」が公表したレポートによると、実際に国民が収めた税金の中から王室が使った金額は、この何倍にものぼるという。 リパブリックの推計では、その金額は約5億1000万ポンド(約984億円)。ロイヤルファミリーの警護費用が公費で賄われていることや、チャールズ国王とウィリアム皇太子がそれぞれ「私有」する公領、ランカスターとコーンウォールがあげる利益を「個人的に受け取っている」ことが、実際の支出額を膨らませているとのこと。 そのほかリパブリックは、ロイヤルたちが公務で訪れる各地の自治体が、受け入れのために支出する金額も、王室が負担するべきだと主張。リパブリックのグレアム・スミス代表は9月23日(現地時間)に発表したプレスリリースで、次のように述べている。 「王室が、年間で約984億円もの巨額の支出額を出していますが、これは(私たち国民が払った税金の)正しい使い道でしょうか。恥ずべき公金の乱用ではないでしょうか。公金は、おとがめなく使っても構わないという認識に感じ取れます。王室一家の腐敗と秘密主義が、このような結果をもたらしているのではありませんか?」
スミス代表はまた、「王室助成金を1000万ポンド(約19億円)以下に削減することを要求します」として、以下のように発言。 「リパブリックは、公金を受け取るのはチャールズ国王のみとし、その金額は首相と同額にすること、国会が王室の"驚愕の浪費"について調査を行うことを求めます」 ただ、リパブリックがレポートに記載している金額は「推計」であることも忘れてはならない。例えば、ロイヤルファミリーの警護費用については、ロンドン警視庁も王室も明確にすることを"拒否"しており、実際に支出されている金額は不明。 また、ランカスター公領やコーンウォール公領などについては、仮に制度が変更された場合に運営や収益にどのような変化が起きるか予測することはできず、リパブリックが示した金額は、ひとつのシナリオに基づいた推測にすぎない(リパブリックは、これらの公領は国王と皇太子が私有するものではなく、その収入が国庫に入るクラウン・エステートの管理下に置かれるべきだと主張している)。 バッキンガム宮殿は今のところ、このレポートについて何もコメントしていない。ただ、ロイヤルファミリーの側近は王室の財政状況について、最近の記者会見で、「あらゆる分野での王室の取り組みにおいて、継続的な改善に重点を置いている」とのみ説明している。 イギリスでは10月末に、発足したばかりの労働党政権が初の予算案を発表する予定。リパブリックはそのタイミングに合わせて、このレポートを公表している。 また、レイチェル・リーヴス財務相は9月初めに『BBC』に対し、税制や公的支出について、「難しい決断を下さなければならない」と述べている。
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