英俳優サー・イアン・マケレン、本番中に舞台から落下 休演を延長
イギリスの名優、サー・イアン・マケレン(85)が17日夜、ロンドンの劇場で本番中に舞台から落下し、病院に搬送された。劇場広報によると、サー・イアンは「元気」で、「素早く全快する」見通しだという。ただし、ロンドンでの残りの舞台は休演することが、20日に発表された。 (編集部注: 「Ian McKellen」は日本では多くの場合「イアン・マッケラン」と表記されますが、BBC日本語では本人の発音に近づけて「イアン・マケレン」と表記します) サー・イアンはロンドンのノエル・カワード劇場で、シェイクスピアの「ヘンリー4世 第一部」と「同第二部」をもとにした「Player Kings(劇中王)」に出演中。 後にヘンリー5世になる皇太子ハル王子と親しい陽気な酔漢ジョン・フォルスタッフを演じるサー・イアンは、王子とヘンリー・パーシーの戦いの場面を舞台上で遠巻きにして見ていたところ、舞台正面から落下した。 助けを求めたサー・イアンは、すぐに病院に運ばれた。この夜の上演はその時点で中止になった。 劇場広報によると、スキャン撮影を受けたサー・イアンは、素早く全快する見通し。広報はさらに、サー・イアンが落下した際、「観客としてその場にいて助けてくれた」医師のレイチェルさんとリーさんや、劇場スタッフの支援に感謝した。 サー・イアンは18日夜に「X(旧ツイッター)」で、「皆さんの優しいメッセージと応援に感謝します」と書いた。 「昨夜の『Player Kings』の上演中に起きた事故以来、国民保健サービス(NHS)のために働く専門家や専門医や看護師が私のけがを診察し、治療してくれました。もちろんその人たちに私は、とても恩義を感じています」としたうえで、サー・イアンは「その人たちは、私が素早く全快すると、太鼓判を押してくれました。なので、仕事復帰を楽しみにしています」と続けた。 これに先立ち劇場側は、当初は19日に上演を再開するとしていたが、休演を1日伸ばして20日に再開すると明らかにした。ロンドン公演の千秋楽は、当初から今月22日に予定されていた。 「Player Kings」の公式アカウントは20日、サー・イアンが17日の事故から回復する間、「予定されていた残る3回の舞台」について休演すると発表した。代役として、デイヴィッド・セマーク氏がフォルスタッフを演じるという。 4月にロンドンで幕を開けた「Player Kings」は7月3日から、南西部ブリストルを皮切りに、イギリス国内数カ所を巡業する予定。公式アカウントは、「イアンが戻るのを楽しみにしている」と書いた。 サー・イアンはこれまでに、シェイクスピア作品では、リチャード2世、コリオレイナス、イアーゴ、リチャード3世、マクベス、プロスペロー、リア王など、ほとんどの主要な役を当たり役としてきた。長く共に作品を作っているショーン・マサイアス監督の新作映画「ハムレット」にも、近く主演する予定。 舞台の現代劇では、「BENT」の初演、「アマデウス」のブロードウェイ初演など、数々の歴史的な舞台に主演している。 映画では、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのガンダルフ役や、「X-メン」シリーズのマグニート役などで世界的に知られている。 サー・イアンは5年前、ロンドンの劇場で「リア王」に主演中、電車に乗ろうと急いだために脚を負傷し、休演したことがある。ただしこの時は芝居を上演する代わりに、舞台上に座り、観客の質問に答え続けて、観客を楽しませた。 (英語記事 Sir Ian McKellen falls off stage during performance)
(c) BBC News